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甘いと言おうと思うも、何か違うと言葉を探していたのですが、芳醇、これだ、これです。ウイスキーや赤ワインを甘いと言うときの、芳醇な二篇。読後は酔い心地。 『marionnette à café』 「抄果十三年葉月」 それは何処の、何時の時代の話なのか、日記に記される珈琲人形は浪漫の象徴のような姿をして、しかしその実態は朧げな。そしてその珈琲人形の記述と交互に現れるすな子との一幕。段々と浮き彫りになるこの日記の著者。そうだ、珈琲は苦いものだ。 『Drowsisness is most Danger』 「音夢 Ne-Mu」 古書店で働き始めた須那子は、画を仕入れてくる須藤さんに誘われて、彼の宿までついていく。研ぎ澄まされる触覚と錯覚、酩酊。取り憑かれていく、蝕まれていく、しかしそれは心地のよいものだ。求めるままに辿り着いたところ、望むままに落ちた先。 | ||
タイトル | すな子へ | |
著者 | 泉由良 | |
価格 | 600円 | |
ジャンル | 純文学 | |
詳細 | 書籍情報 |
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グーで変化に手を伸ばす グーチョキパー、のグーです。 地に足のついた力強さのあるタッチで描かれた、毛色の異なる四つの短編。 空石 「At The SEVENTH Heaven」 地球の重力に逆らい浮遊する人類の居住地域「天球(ヘヴン)」。その「第七天(セヴンス)」へ降り立った異天人(バルバロイ)たちは支配に満ちた地に一体何を見出し何を思うのか。 血石 「死闘! 四本腕の男!」 第何話。と見出しがつきそうなホウガイアクション。帝国軍に届いた果たし状、それを受け機巧魔術捜査課の強者たちが出張るーー 虎翳石 「まだらな二人」 やりたいこと「お笑い」をやっている清水と俺のコンビだが、生活はぎりぎりで笑えない。リアルな会話、描写で紡がれる人ふたり分の悩みとその結論。 霊石 「霊石イオピリアスについて」 ロケットでブラックホールへと向かう僕と飼い猫ホメオパシー。独白と回想は収束していく。霊石イオピリアスとは、如何なるものであるのか。 | ||
タイトル | 鉱石トリビュート「幻石」 | |
著者 | ひざのうらはやお | |
価格 | 800円 | |
ジャンル | 掌編 | |
詳細 | 書籍情報 |
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"午前三時の音楽" 雰囲気を言い表そうとパラパラしていましたら、表紙のサークル名が目に入りまして、深く納得してしまいました。 敢えて他の言葉で言い表すと、しとしとと穏やかに降る中で雨樋から溢れ落ちる雫、その断続的な雨音のような作品群かなと思います。 『Dead Flowers』 花を食べる同居人、花を与える同居人、そして花屋。背景は霞の掛かったまま、それぞれの想いが描き出される。秘め事を覗き見してしまったような、そんな感覚。 『くらやみの色』 くらやみの中の食卓。二人の会話は仄かに、甘い色味を帯びている。音が、声が、読み手の中によく響く。 『雨のワルツを』 雨音、雨音、雨音。部屋の中で聴く色々な雨音。ふたりにとってそれは日常を彩る音楽のようなものなのかもしれない。 『目と耳そして、エコー』 ふたりの会話。色と音についてのワンシーン。 | ||
タイトル | Dead Flowers | |
著者 | 高梨來 | |
価格 | 500円 | |
ジャンル | JUNE | |
詳細 | 書籍情報 |
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おばおね百合アンソロジー。 歳の差は十以上。けれど彼女たちにはそれぞれ単なる歳の差に留まらない高低差がある。 『ハナは先生の猫だ』ーー峠 先生と、先生の猫を預かるわたしのお話。ハナが居て、先生がいない環境で、想いに耽らないわけもなく。 『家出の準備』ーーオカワダアキナ 訪問ネイリストのツキダさんに家へ来てもらったわたし。ぎりぎりに背中を押された、小さな勇気。 『はつなつの人』ーー高梨來 上手くいかない彼との通話を、年上の女性に見られた。理想と望みとが噛み合わない中、私に変化が訪れる。 『歌声』ーー鹿紙路 宮廷歌人の額田は、大王の望みを捉えて歌にする。皇族と仕え人という絶対的な立ち位置の、敬愛、寵愛。 『もっと上手に』ーー古池ねじ 星は憧れのイラストレーター、安藤留津住まいで手伝いをする。描かれるのは人と人との距離、表面と裏面。 | ||
タイトル | 乞ひぞ募りて【軽装版】 | |
著者 | オカワダアキナ 古池ねじ 鹿紙路 高梨來 峠 | |
価格 | 1000円 | |
ジャンル | 恋愛 | |
詳細 | 書籍情報 |