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目立つ名前と男女の双子という理由で、中学時代にいじめを受け、親友の春馬にしか胸のうちを明かせない伏姫海吏(ふせひめかいり・主人公)。 その親友にさえ、英国に残してきた「好きな子」が男だと打ち明けられないでいる。双子の姉の祈吏(いのり)にもまた、幼い頃から思慕を抱き、いずれはどちらかを選ばなくてはいけなくて――。 思い詰める海吏の姿がピュアで、思春期独特の切羽詰まった焦燥感が伝わってきます。女子高校生の喋り言葉をそのまま書き写したような台詞、化粧品やお菓子、整髪料がまじった女の子特有の甘ったるい匂い、金切り声のような生徒達の嬌声など「今この日本に存在してそう」なリアルを感じさせる描写が巧み。 なんといっても「彼氏」のマーティンが魅力的。「好きだ」と言う海吏に、「きみは寂しいだけなんだよ」と頑なに拒むストイックさが切ない。 頁数の多さを感じさせないほど、内面描写が濃く、掌編とおまけペーパーが嬉しい一冊です。 後日談的な続編「MY SHOOTING STAR」・恋愛成就編「あたらしい朝」もオススメです。 | ||
タイトル | ジェミニとほうき星 | |
著者 | 高梨 來 | |
価格 | 800円 | |
ジャンル | JUNE | |
詳細 | 書籍情報 |
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自分の性的嗜好が同性だと気付き、一世一代の覚悟で男性向け風俗店に来た在宅勤務の祥(しょう)。 そこでコウという青年にサービスされる立場になり、リードの巧みなコウに惹かれていく。次回必ず店に行くと約束していたある雨の日、コウが同級生らしき若者とはしゃいでいる姿を目撃してしまう。 自分の知らない、コウの学生らしい姿を見て、祥は「自分は知り合いですらない」と落ち込んでしまう。いっそのこと、店で働いていないコウを見ればあきらめられるのではないかと思い至り、コウの通う大学で確かめようとするが、そこでコウに見つかってしまい──。 とても読みやすい文章で、文字がすっと頭に入ってきます。 以前、実駒さんの小説を読んだ時にも感じたのですが、「人に読ませる」ということを前提に作られている文章・お話だなぁ、と思いました。 冒頭からはじまるラブシーン(Hシーン)はサービスたっぷり。 その後、コウのことをなにも知らないけれど、あれこれ想像して幸せな時間を過ごすところから、コウの普段の学生の姿をみて疎外感を覚えるシーンの落差が大きいです。 コウといい雰囲気になり、夢を見ていたのにいきなり「ただの客と店員」だった自分たちの現実を突きつけられてショックを受けるところ、とても共感しました。お話が上手な職業のひと(美容師さんなど)と話すと、私も錯覚しますから。 祥が「コウと友達になりたかった」と自覚するまで、長い道のりだったなぁ、と思いました。 全部読んで見ると祥はダメダメですが、まっすぐで応援したくなるキャラ、(もちろん、コウも必死だった、と後でわかります)世間に出ていないせいなのか、孤独で懸命に愛・友情をほしがる祥を応援したくなります。 体のつきあいから始まる友情というのもあり!?なエンドですし、コウが乗り気なのところが、BL好きとしては嬉しいです。 この二人の行く先が、幸せなものでありますように! | ||
タイトル | 【R18】君とデートをしてみたい。 | |
著者 | 実駒 | |
価格 | 500円 | |
ジャンル | JUNE | |
詳細 | 書籍情報 |