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大人というのは子供に見栄張ってがんばる生き物でなければならないというのが第一の感想。 先生群と生徒群。まだ未知のものとかつてそうだったものの対話。現実と幻想の対話。本音と建て前。 聖羅は自分の事がわからない、他人のこともわからない。わからないなりになんとかなってきてしまっている。けれどそれを平穏だと自分を騙せず、ついに1歩踏み出す。踏み出し方がふるってる上にナナメ上で、着地がうまくいったのは本当にラッキーとしか言いようが無いけれど期待は確信になる。ここから彼女の再生はスタートするのだと。 幻覚と(自覚あるまま)話し、何度も内省を促される聖羅。けれど、それまでずっと同じ職場だったはずの職員室には友人ができ、学内の保健室には恋人がいる。同じ世界のままなのに、歩を進めれば違う様相が見えてくる。合縁奇縁といわれるもの。生真面目すぎる聖羅の、周囲との斜めな問答は、彼女を応援したくなる仕掛けであり、テーマの割に明るく読めるのはコミカルな会話劇があるからこそ。そして幻覚も夢も最初のおどろおどろしい対話から滑らかに戯画化され、決着のシーンはむしろ童話のよう。聖羅の内面の変化は聖羅の視覚の中でも姿を変えていく。 もちろん一直線にうまく行ったわけではない。行きつ戻りつ、そして外を向いたことによって友人の、恋人の、生徒の、上司の、苦しみや間違いも流れる風景から本流の中へと身を置くこととなり聖羅も傷つく。けれどそれも聖羅の糧となる。 教師として大人であり、内面に子供を引き摺ったままの聖羅という女性の、選択と成長がとても清々しい物語。 R18ですがその辺りの場面はそんなに多くないですし描写も短めなので気になる方はぜひ。 ところで(ここから素)、サディストって触れ込みだった保健室の先生はエー、むしろMだよねこの人……。 あと、個人的に《初めての友達》牧野先生にはがんばって欲しいです。応援。共依存の気持ちよさから抜け出すの、すごい決意だと思う。これも大人が子供に見せたい虚勢。空威張りでも、心は震えていても、子供に安心をあげたい気持ちは本物。聖羅さん、友達大事にしてね。 | ||
タイトル | 白蜥蜴の夢 | |
著者 | 宇野寧湖 | |
価格 | 800円 | |
ジャンル | 恋愛 | |
詳細 | 書籍情報 |
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かわいい人間とかわいい吸血鬼しかでてきません。ザ・ロマンス、なのにどこか愉快。 シルヴェラが勇気と思いきりで生きてて、そのくせ銭勘定はするとこkawayui〜。 「男勝り」ではないけど時代背景考えたらすごい行動力だし、つかみ取るもの施されるもの決断の難しさ、そういうものが淡々と丁寧に綴られていて、読んでいてほっこりワクワクしてました!マジこーさあ、女を武器にしてないのに柔らかくてあったかいのっていいよねー(心のおっさんがむせび泣いてます)。そんでめっちゃラヴかった。いっちゃいちゃだった。ひゅー。 歴史改変(架空)ですし私は歴史浅いのであまり言う言葉はないんですが、『王』というパーツがどういうポジションなのか、歴史物だと語られることが多いですけど、こちらもまた亡国を抱えて生きる苦悩が描かれていて、『国とはなにか』を問う物語でもありました。舞台の威尼斯にしても、いろいろなるほど、と。 そして選択を迫られる中、動いた人物は意外ではありましたが、覚悟が厳しい。ともするとそれは余計なこと。それでも、たとえ憎まれても、為すべきことを為す。難しいところだけど認められてよかった。 あと「彼」はお式の描写に出てこなくてなんで?って思ってたらそんな可哀想なって…笑ってしまいました。 だいたい笑っていられます。分厚いけどすっきり。なぜかカラーページも充実。ラヴをもだもだ楽しみたい方ぜひ。 | ||
タイトル | 祝祭 カルネヴァーレ | |
著者 | 宮田 秩早 | |
価格 | 500円 | |
ジャンル | ファンタジー | |
詳細 | 書籍情報 |