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とある閉鎖的な集落を舞台に繰り広げられる、生命力あふれる長編純文学小説。 そのエネルギッシュさと独特のエロティシズム、そして何と言ってもにゃんしー氏最大の特徴である、文章全体に横たわる穢れ感を全力の筆致で描いている様が圧巻である。 非文明的な、あるいは土着宗教的な「穢れ」を描くことに関してこれだけ確固たるスタンスで独自のイディオムを築きあげる書き手をぼくは寡聞にして知ることがなかった。 ある意味では「ごうがふかいな」の極致に存在する小説ともいえるし、究極の「童貞小説」とも呼ぶことのできる代物で、まさに純文学と呼ぶに異論のない小説といえるのではないかと思う。それほどまでに濃密で重たく、文章全体にまんべんなく横たわる穢れと、それとは打って変わって描き出される澄んだ感情表現とどこまでも青い夏水の空が、どこまでも読み手に余韻を残す。 ぼくはなぜか、雲一つない夏空に消えていく、高校球児の打球を想った。 | ||
タイトル | 赤ちゃんのいないお腹からは夏の匂いがする | |
著者 | にゃんしー | |
価格 | 500円 | |
ジャンル | 純文学 | |
詳細 | 書籍情報 |