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この作品集には、四者四様の「人形」にまつわるストーリーが 収録されています。 それぞれ全く異なる内容ではありますが、「ヒトガタ」を通して 「人間」を描くという、大きなテーマは共通していると思います。 自作品を除く、三作品についてのブログの感想記事の縮小版を、 以下に転載いたします。 作品選びの参考にしていただければ幸いです。 *** 杉背よいさま 『シンギング・オブ・粉骨』 V系バンドのミュージシャンであるハスミは、神様から遣わされた紳士人形 「藤井」にある「契約」をもちかけられるが…。 シンプルなのに、どこか哀愁があったり、何気ない行動やしぐさにおかしみが あったりする杉背さん作品の独特の味わいが存分に楽しめる作品です。 ハスミは考えます。 なぜ歌うのか。聴いてもらうため? 売れるため? では、売れた先には、一体何が待っているのか。 創作する、すべての人に捧げる物語です。 柳田のり子さま 『別世界』 冒頭からガツンと来ますので、お試し読みを是非ご覧下さいませ! 自然のままの人間が少数派となり、遺伝子を設計され作り出された人間が多数と なった世界の物語。 クレマチスの台詞とか、考え方とか、たぶんぶっ飛んでるとも言えるんだけど、 とても自然で違和感がなく、そこがすごく面白い。 荒唐無稽のようでいて、ぜんぜんそんなことないと思えるリアルさも兼ね備えて います。結構なトンデモワード頻出の作品なんだけど、あるかも…って思える ところが、いやはや、恐るべしな作品です。 匹津なのりさま 『繭子さんも私も』 着付け教室のマネキン人形にひそかに名前をつけているワケあり女子、 麦子さんと、そんな彼女の元に時々現れる謎めいた女の子「繭子」さんの 交流のお話です。 繊細な筆致で、静かに進む物語です。読者の皆様には是非、麦子さんの 気持ちに寄り添って、繭子さんのエキセントリックな雰囲気にくすっとしたり どきっとしたり、女子同士の微妙な関係に思いを馳せていただけたらいいなと 思います。 そして読み終わったときの、あの不思議に満たされたような気持ちを 味わっていただけたら嬉しいです。 | ||
タイトル | 人形小説アンソロジー「ヒトガタリ」 | |
著者 | 杉背よい・柳田のり子・匹津なのり・西乃まりも | |
価格 | 400円 | |
ジャンル | 大衆小説 | |
詳細 | 書籍情報 |