| ||
人と人の距離感を定義するものは、わたしとあなたの感情だ。 それは、わたしの思うあなたとの距離感は、あなたが了解したものではなく、あくまで私の願望に過ぎないかもしれないということだ。 この詩集のわたしは、あなたとの距離を見誤り、あなたを間違える。 能動的にあなたとの距離感を定義しようとしているかと思いきや、あなたから輪郭線を千切られ、弾かれもする。 距離感は綱引きのように、ひとつところに留まっているものではないけれど、 そもそも、わたしとあなたは綱引きを出来ているか分からない、そのような不安に満ち満ちている。 だからこそ、漢字の確固とした「距離感」ではなく「きょりかん」なのだろう。 人に言葉を、特に関係性を決定づける言葉を投げつけるのはとても勇気が要ることだ。 精一杯の強さの「きょりかん」と名付けられた詩集には、そんな優しい不安が言葉として結実している。 | ||
タイトル | きょりかん | |
著者 | 海老名絢 | |
価格 | 500円 | |
ジャンル | 詩歌 | |
詳細 | 書籍情報 |