鉄球に封じられた美しき戦鬼、ルルド・バイパー。若き皇帝ローティフェルドが彼と邂逅したことから、物語は始まります。ローティフェルドを脅かす皇帝暗殺計画とは? 「俺はお前なのさ、ロゥ君」――謎めいたルルドの言葉の真意とは? そして、ローティフェルドが彼自身の意志を灯したとき姿を顕す、“世界の敵”の正体とは?
一冊完結にもかかわらず凝縮された世界観と構成の妙、翻弄される少年少女の絶望と決意を容赦なく描き出す明瞭な筆致から織りなされる、最高のファンタジー小説です。 中でも、ローティフェルドと彼の婚約者ユイ・フォリアの対比が素晴らしいです。世界から抑圧された二人の少年少女、その歩む道が分かつ明暗。クライマックスにある、ユイが過去を回想するシーンは永遠に忘れられません。
上遠野浩平先生は数多くの作品を作り上げ、様々なシリーズがありますが、そのすべてが何らかの関連を持っていることで有名です。そしてそのすべてで、“ただひとつのこと”を追求し続ける、その鮮烈な姿勢に息を呑み、自身もそうありたいと思わずにはいられません。ぜひその一端を、味わってください。(あとは『ソウルドロップの幽体研究』も初心者向け)
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