書影 |
書籍タイトル |
著者 |
価格 |
ジャンル |
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詳細 |
注文 |
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ともだちの国 |
にゃんしー |
600円 |
純文学 |
私はあの国で起こったことを、どういう形で書き始めていいか分からないのです。あの美しい飛鳥国のことを、私たちが愛した国のことを、どのように書けば伝わるのか分からないのです。 稀に食べるビワマスの刺身が絶品だったことでしょうか、密会で飲む水果茶は苦くて大人の味がしたことでしょうか、禁じられた性行為のことでしょうか、大化の改新に起源を持つ国の歴史でしょうか、鳥言語を用いた「不動」の術でしょうか…… |
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ポエムの墓 |
にゃんしー |
500円 |
純文学 |
その姉妹は、父親のことを「あのひと」と呼んだ。
浴衣を着た姉妹が、田んぼ沿いのひび割れたアスファルトを歩いている。 空は青いばかりで、ところどころ花曇、つまりありふれた四月の白昼の光景。 特別なことなど何ひとつない道を、姉妹が歩いている。 姉・清水玲は、ヴィヴィッドな赤色の浴衣の裾を深く折り、ミニスカートのように細い脚を見せつけている。春のやわら…… |
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赤ちゃんのいないお腹からは夏の匂いがする |
にゃんしー |
500円 |
純文学 |
「僕は好きな女の子がいてね」 まずは、自分の話をさせてもらうことにした。 「昔好きだった人に似てるんだ。まあその女の子は、僕の娘なんだけどね」 最後の一言で、少年Hの目に興味が宿ったのが分かった。 「へえー、もう、ヤッたんスか?」 ああ、こんな喋り方をするんだ、と思った。僕は首を横に振る。 「ヤッてないし、ヤる予定もない。でも、これが終わって帰ったら、海に…… |
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キャンディと王様(1) |
にゃんしー |
1000円 |
大衆小説 |
千船女子高は、尼崎市南の工場地帯にある。 南西を阪神なんば線、北を阪神本線、南東を左門殿川に区切られたデルタ地帯である。 不便である代わりに地価が安く、千船女子高以外は大型の工場が並んでいる。 町には絶えず工場の重低音が響き、授業に飽きた際にはそれを子守唄代わりに居眠りをする。グラウンドをぐるぐると十数周走った後、膝に手を当てて大きく息をすれば、潮気に交じって酸味の強いケミ…… |
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キャンディと王様(2) |
にゃんしー |
1000円 |
大衆小説 |
今年も新しい春が来た。らせんを描き繰り返し前に進む。ヒトのDNAは既に解読されたらしい。神様に与えられた最後の宿題。いつだって正しく間違っていたい。「そうすれば」接続詞をひとつ置いて、またいつもの場所に戻る。エントロピーは減らない。証明なんか、知りたくない。知らないことを知りたくない。明るくて、かわいくて、ばかです。いつだって強がりな、女の子。 千船女子高に桜の木は、一本しかな…… |
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キャンディと王様(3) |
にゃんしー |
1000円 |
大衆小説 |
「毎日毎日、野球の絵ばっかたくさん描いた」 あさひは、ひとつ質問をした。 「高校のときに、全国高校生絵画大会で最優秀賞を取ってますよね」 青春は、少しさびしそうに笑って言う。 「その絵、見たことある?野球の絵じゃなかったでしょ?」 「はい。インターネットで見たことあります。でも空が黄色い、すごいきれいな絵でしたけど、」 青春は、大きなため息をつく。 …… |
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アドレナリン・リライト |
遠藤ヒツジ |
800円 |
純文学 |
あたしはあなたに触れて、あなたはただ流れ続けている。
あなたは語らないのね。あなたから聞こえてくるのはせせらぎだけ。あなたから見えるのは照明にきらめく水面だけ。 時折、あたしはあなたを飲む。あたしの両掌を椀にして、あなたの水を掬って口に含む。それはとっても清らかで、口当たりはさらりとしている。あなたは少し独特の味をもって、それがあたしを感動させる。あたしが東京の水を唾棄す…… |
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菌くさびら |
山本清風 |
700円 |
そのほか |
傾向。嫌な傾向だね。ちょっと家を空けた間に虫は復活してるしね。なんなのこれは、なんで大きくなってんのって。やっぱりあれか、死の淵から蘇るたびに強くなるというあれか、純粋な怒りで目覚めんとするのかあれは。普段ならば学校にいっている時間帯である。臨時に金子が入ったために不自由することもなく、あたらしい煙草とあたらしいペットボトルの茶を手に入れた。そうして音楽も。多少大きな音をだしても怒られまい、はやい…… |
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世界革命のシンタックス |
木野誠太郎 |
1000円 |
ライトノベル |
小銃が三度動いた。 赤く、黒く、するどく。弾丸は俺の身体を貫通する。内臓あたりがやられただ ろうか。 しかし、エンドルフィンの作用からか肉体は痛みを訴えない。 まだやれるな。 瞬間的に判断し、俺は向かってくる弾丸を避けずに、銃弾の射手を両手に抱え た銃剣で突いた。黒い防弾服を着た中年男の心臓を一突きすると、裂くように上 へと刃を振り上げる。噴き出…… |
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