尼崎文学だらけ
ブース 企画本部
おとそ大学パブリッシング
タイトル キャンディと王様(1)
著者 にゃんしー
価格 1000円
カテゴリ 大衆小説
ツイートする
紹介文
野球が大好きで、可愛くて、一生懸命な
千船女子高の非公式野球部の
女子たちの日々。

なかでも強いのは
“キャンディ”こと、エース・乙彼若菜と、
“王様”こと四番・神田川水樹。

男の子が大っ嫌いだったはずの水樹が
恋をしたとき、野球部は……

 千船女子高は、尼崎市南の工場地帯にある。
 南西を阪神なんば線、北を阪神本線、南東を左門殿川に区切られたデルタ地帯である。
不便である代わりに地価が安く、千船女子高以外は大型の工場が並んでいる。
 町には絶えず工場の重低音が響き、授業に飽きた際にはそれを子守唄代わりに居眠りをする。グラウンドをぐるぐると十数周走った後、膝に手を当てて大きく息をすれば、潮気に交じって酸味の強いケミカルな匂いがする。
 この町が好きだった――と云うには、彼女たちに他の選択肢があったわけではない。千船女子高は、地域の標準的な女子――悪く云えば、何の取り柄もない女子――が通う、公立校である。当たり前のようにこの町に育ち、当たり前のように千船女子高に進学した。
 周囲から隔絶されたデルタ地帯がそうさせているのだろうか、年齢の割にはどこか幼い、純粋な少女が多かった。周囲に男子校はあったが、交流はほとんど無く、彼氏のいる生徒も極少なかった。そこに至るには、同世代の女子よりも、何か大きなものを乗り越えなければならないかもしれなかった。


少女たちの周囲、手を伸ばせば届く場所には、読者である私たちの見知った言葉が散在する。
そうだ、これは現在の。そして過去の。これは少女たちの視界だ。
手の届かないものは未知の異物で、それらから身を守る永遠にも思える保守的な楽園。
秘密裏の裏切りと罪悪。世界は崩れる。未来、受験、異性、未知のもの、
全て日常に含まれるものによって。
彼女たちは野球を愛した。誰より身近な親友を愛した。
必ず来る別れの前に。
推薦者文学フリマガイドブック書評:犬尾春陽さんからいただきました
推薦ポイント

分厚い3巻構成に驚きましたが、いかにも高校生っぽい性の問題(これが結構生々しい)と、
悩みのなさそうな無敵ピッチャーの鬱。
2巻目で沈みに沈んで、3巻目から始まる巻き返しの快進撃が非常に快感。
悪者が悪者として存在せず、いかに自分で自分たちを救うかっていう点で
意外に深い作品になってます。
推薦者文学フリマガイドブック書評:想詩拓さんからいただきました
推薦ポイント

やきう。
「野球をする女の子の話」ですが、野球に詳しくなくても、問題なく
楽しく読めます、ということをまず伝えたいです。

あ!でも、野球を知っていたら、プロ野球が好きならより楽しめることは
間違いないと思います。
でも、プロ野球のことを全く知らない私でも、章のはじめなどで
いきなり語られる野球選手のうんちくなど、興味深く読みました。


主人公の「キャンディ」と「王様」の、
「キャンディ」がなぜキャンディなのか、「王様」がなぜ王様と呼ばれているのか、
何度も作中で語られるその理由がうっとりするほど美しいのです。
何度も何度もその理由が出てくるので、だんだん酔ったような
気分になってくるほど。

この二人が(バッテリーを組んでるわりにクールな関係の)、
笑いあうシーンがとてもいいなあと思いました。
おんなのこかわいいいっっ!!!
ってなった。


それ以外の登場する女の子たちもとても魅力的。
仲がいいのか、わるいのか、よいこなのか、よくないこなのか。
家庭環境も、偏差値も、みんなバラバラでまとまっているのかいないのか
わからない、けどみんな野球が好きな女の子たち。


いつまでもこんなきらきらした女の子たちを見ていられると
おもったんだ、二巻を読むまでは……。
(二巻の推薦文に続く。笑)
推薦者壬生キヨム
推薦ポイント物語・構成が好き