九月雑詠

  ■ 牟礼鯨

グラノーラにヨーグルトがけ夜業終ふ

あたらしいベッド並ぶる早稲田かな

月光や川の向かふに鉄工所

わらび餅売る歌焼肉屋の裏に

眠すぎて二百十日を過ぎにけり

寿司屋もうやめたのかしら秋の雲

秋夕焼や話は醤油麹から

木の実落つ美術館から抜けられず

荻の近親へ萩の遠戚へ粉糠雨

ウェディングドレスを載せて颱風へ

吊花の実や建築家亡き宅に

乳酸菌飲料売りに竜田姫

からあげのはみ出してゐる爽やかさ

旧姓と靴を捨てます秋の空

月の香は濃し彼岸花白ければ

神鈴は秋声となり事任

白い花が好きな人ゐた金木犀

川蟹を茹でる時間は虫の声

秋晴へ諸手をあぐる衆議院

水澄みて星野みなみの言ふとほり

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