「砂」題詠

風緩む館山の春の砂浜で 友とふたりただ波を聴く

思い立ち砂を握りて手を開く 落つる砂の音は波に消されて

手の砂を払いしあとに振り向けば ただ名も知らぬ海草のみある

ふと見れば砂中に半ば埋もれたる 巻き貝の殻そっと手に取る

引き潮に取り残されたる貝の殻 滴る砂の虚しきことかな

       ■ 偲川遙

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