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    エモーショナル・サイオニック

    野間みつね
    450円
    エンタメ
    ★推薦文を読む

  • 銀河連邦の植民惑星間を航行する旅客船フェントーク号が、バニラ星上空で原因不明の操船不能に陥り、墜落――挙式間近の婚約者をこの事故で喪ったジュード・ナリタ青年は、だが、それが事故ではなく、二百年以上も生きている伝説の超能力者クレイン・ロードにより人為的に引き起こされたものだと証し立てる映像を見せられる……▼野間みつねが中学〜高校時代に書き散らしていた『レジェンダリィ・クレイン』――未来世界で生きる超絶超能力者クレインこと頼山紀博青年が主人公のSF(?)シリーズから一作品を選び、大幅に加筆改稿。書き下ろし番外編「異動」も収録。▼単巻読切という取っ付き易さからか、拙作の中では割に多くの方から好意的な御感想を頂ける作品です。当方の現在の作品群の主流とは言えませんが、源流ではあります。▼2021年4月14日、改訂第二版を装幀一新で刊行しました。92p→100pに頁数増えましたが頒価は据え置きです。

試し読み

 客船フェントーク号は、バニラ星の大気圏に突入しようとしていた。
 エセルがラウンジから自席に戻り、シートベルトを着用して間なしに、がくんと大きな揺れが来た。
 恐らく、大気圏に突入したのだろう。そう思いながらシートに背を預けた彼女は、次の瞬間、更に大きな揺れで、前につんのめった。
 そちこちで悲鳴が上がる。
 エセルは咄嗟に船の外を透視眼で見回し――声を失った。
 フェントーク号の船首がほぼ真下を向き[#「ほぼ真下を向き」に傍点]、船体が炎に包まれていた。
 軍用船ほど外壁に耐久力のない客船は、普通、急角度の大気圏突入を避ける筈だ。さもなければ、外壁が摩擦熱に耐えられない。それなのに、どうして、船首が真下を向いているのか!?
「――落ちてる!」
 誰かが上げた叫びで、乗客達のパニックに火が点く。逃げ出そうと立ち上がる者まで居たが、立ち上がった途端に転倒し、通路に投げ出される。船の揺れは最早無視出来ないほど激しくなっていた。客室乗務員達が「落ち着いてください! シートベルトを外さないでください!」と必死で宥めるも、現実に客室内の温度が急激に上昇し始め、船体が軋む音まで響いては、落ち着けと言う方が無理であった。
 ふと――
 エセルは、自分の右隣に座っている、カーキ色のジャケットを羽織った青いサングラスの男に目を留《と》めた。この騒ぎの中、腕組みをして無表情に座っている。目の表情は、濃い青に遮られていて読み取れない。エセルは奇妙な戸惑いに胸を掴まれた。彼女の超感覚は鈍っていない。なのに、何故か、男のサングラスの内側を覗き見ることが出来ない。
(防がれてるの……? 超能力者《サイオニック》?)
 そう言えば、マスタード星の宙港を出た時には、自分の隣の席は空《あ》いていた筈だ。途中で立ち寄った他の星で乗船してきたのだろうか。
 いつの間にか隣席となっている黒髪の男の不自然なまでの平静さ、そして不可解さ――それらがまるで凶兆のように感じられ、エセルは、半ば引き込まれるように、相手の心に精神感応《テレパシー》の手を伸ばした。
 だが、男の意識は、何かの皮膜に覆われたように、不明瞭だった。

     ―――「第一章 策謀」より

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伝説の《サイオニック》

伝説の、と呼ばれるほどの強さを持つ超能力者《サイオニック》であるにもかかわらず、情に脆い青年クレイン=頼山紀博。
クレインを婚約者の仇と信じるジュードは、彼に対抗する超能力者として、ロキシード社によって短期に育成され、クレインは命を狙われる──。

彼らによる超能力戦は、クレインがジュード青年の心情に寄り添ってしまうことで劣勢となり、ハラハラさせられます。

強大な力を持つ能力者の過去と覚醒、能力者同士の戦闘。不老の孤独、付け狙う組織の存在。お好きな方に。

きよこ

ちからを持ってしまったものの宿命と哀しみ。彼の名は……

 感想に他作品を出すのはどうかというご意見もあるようですが、「超人○ック」がお好きな方は必読じゃないかと思います。
 似てるという意味ではないんですよ。要素として「ああ、直球で好みだ」と嘆息できる舞台設定とキャラクター造形です。

 秘めた熱い思い、憎悪、あるいは世界の仕組みを「上手く」扱い支配者たろうとする人々。
 そんな人々の思惑に、ときに呑まれそうになりながらも戦う漂泊の超能力者。
 時が経つにつれ、彼の実像は希薄になり、どこか伝説めいた物語だけが流布してゆく……一連の作品群は、その「伝説」の一端を書き留めたもの、という趣です。

 本作のメインのシナリオについては、相手の小さなミスや言葉の引っかかりで、明らかになっていく陰謀の顛末、そこに巻き込まれた主人公ともう一人の大きな力をもった能力者の悲壮な戦い。これらがクールに語られていて楽しい。

 作品の随所に主人公がほかに関わったと思われる事件への言及があり、それによって作品世界に空間と時間の拡がりを感じることができます。
 超弩級の潜在能力を持った孤高の超能力者ただし非情には徹しきれない……、という「格好よすぎて書くのが難しい」キャラクターを、上手く、かつ本当に格好よく見せているのは、野間さんの筆力でしょう。
 日本人(日本人の名前を持つ登場人物)がたくさん出てきますが、舞台背景はどこか洋ドラのテイストです。
 サイキックエンターティメント作品。
 面白いですよ。

宮田秩早