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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • Lost girls calling.

    火野文子(原作・泉由良)
    2000円
    ほか

  • 泉由良が2010年に文芸誌『絶対移動中』に投稿した作品を、火野文子が色鉛筆画により、全頁フルカラーでコミカライズ。是非お手元に届けたい漫画です。

    卒業式を抜け出して屋上に上がった宗本絆は、片手に煙草・片手にロックアイスを持って同じくさぼっていた同級生に遭遇する。

    「なんで氷食べてるの? 好きなの?」
    「だって冷たいし。ノンカロリィだし。透明だし」三隅巳波は答えた。ピルケースから取り出す五角形の錠剤をガリガリと齧る、宗本絆に、巳波は自分の生活の秘密を話してしまう。
    透けてゆくように、透けてゆくように、
    「もう無理! こんな毎日あたし無理やだ駄目!!!」
    慟哭する巳波を、絆は誘う。
    「もう、ここから、飛び降りよう」

試し読み

(漫画家の言葉より)

「死」に纏わる哀しさだけを見て、その「死」に至るまでの人間の人生の重苦しい憂鬱さ、その憂鬱を作り出す世の中に蔓延る歪みには頓着しないでいられる人達が沢山生きている世界で、そういう人達に更に優しく首を絞められながら生きていかねばならない

いかねばならないという、多分これからも変わることのない事実 がある

だから同じように死が救いとして、導き出さざるを得ない最適解として、自分たちに不条理と暴力を向けてくる現実に対する決着として、死を選び死が傍らにあった人達のことを、もっと現実的に、淡々とでも突き放さずに記し残すにはどうすればいいのかを10代からずっと考えていた
思春期から精神科に通いやたら向精神薬に詳しい子供がわっと増え出した世代

自分の人格形成に深く食い込みすぎて作品としてまだ昇華することの出来ないあの日々のことを、この原作なら表現出来るかもしれないと思い、当初は作品集として考えていたものを原作者の御好意で漫画作品として制作することになった

少女、や制服に纏わりつくイメージが、当人たちの存在以上に甘美に、センチメンタルに、情緒的に、儚く描かれすぎる特にこの国のフィクションの世界で、それらと全く没交渉な少女時代であったことを、没交渉な少女たちがいたであろうことを記録しなければならない

フィクション側のこれらの虚像が現実の少女たちの世界を消費し食い潰しつくす前に