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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • 一白界談

    放課後文殊クラブ(maruya,mee,tama)
    2500円
    大衆小説
    ★推薦文を読む

  • 《一話足りない百物語。怖い話99連発のホラーアンソロジー》

    ――――"百物語"はお好きですか?

    言葉を聞いたことはあっても、実際にやったことのある方は殆どいらっしゃらないでしょう。『百』というのはただの数字であると同時に、『完全』『完成』『すべて』などの意味も同時に宿しています。百は、百点満点の百、百科事典の百、百戦錬磨の百、百鬼夜行の百、百害窮境の百、百害あって一利なしの百、百聞は一見に如かずの百、そして、百物語の百。
    といっても百物語を完成させてはなりませんので、ここではお気持ちばかりの一白を抜きまして、九十九話のお話としておきました。『完全』『完成』『すべて』に一歩及ばないものの、とってもぶっとい力ある怪談物語でございます。



    三名の執筆陣による吐血しながらの百物語、どうぞどうぞお楽しみください。


    ---
    文庫 / ページ数未定(648P) / 小説99編+あとがき
    発行元:放課後文殊クラブ

試し読み

一 「渡り廊下の女生徒」

 ドミレソ・ドレミド・ミドレソ・ソレミド。
 
 授業の始まりを知らせる音階が、木造校舎の壁をわずかに振動させる。
 それまでめいめいに過ごしていた四百四十五人の全校生徒は、それぞれの教室の中に吸い込まれていった。整然と並んだ机にお行儀よく仕分けされる。机ひとつぶんのスペースが、生徒ひとりに許された領域である。
 俯瞰してみると、まるでパック詰めされた卵のように見えるだろう。卵からいきなり足が生えてきて、自らパック容器に収まらんと歩きだしたら気味が悪いに違いない。そんな感覚だった。
 祐介は、階段の踊り場に座り込んで、チャイムが鳴り止むのを待っていた。次の五十分間は日本史の授業を受けるはずだった。といっても、学ぶべき単元が終わってしまったからと、教員の持ち込んできた大河ドラマ――次は第四話だったか――を放映するだけだろう。もはや授業計画にドラマの視聴を組み込んでるとしか思えない。
 四十に差し掛かろうという年齢の担当教員は、まだ七月も始まったばかりだというのに、腕まくりしたジャージの裾から黒光りする肌をのぞかせている。本業よりも、自らが顧問を務める女子ソフト部の活動に執心しているのだ。やる気のかけらもない授業風景とは打って変わって、部活では別人のように怒鳴り散らかしているというのが、本人のなかでは渋いと思っている。無論、女子からの評判はすこぶる悪かった。理不尽な怒号をとばして部員を限界までしごいては、ぜえぜえと息を切らした女生徒がやっとで声を揃えて「はい」というのを、脂下がった顔で眺めて満足気にうなずくのだ。変態性癖の持ち主に違いない……などと、誰に咎められたわけでもないのに、日本史の授業に出席するべきでない正当な理由を次々と浮かべていた。畢竟、授業をさぼる口実があればなんでも良かったのだ。いま誰かに見つかったら、哀れな教員の洗いざらいを告発してやろうという気分だった。
 
 本鈴の余韻がすぎると、それまで校内を包んでいたざわめきの気配が引き潮のように消える。
 鐘の音は境界線を引くようにして、教室とそれ以外を分断していた。祐介はこの瞬間が好きだった。平日の真昼、授業時間だけは教室以外の校舎が異界に変わるのだ。自分の存在がどこか宙に浮いたような感覚。幽霊みたいにあちこちを飛び回って、舞台のセットをチェックするように、異界を歩き回る。

(続く)

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学校の怪談多し。それは大いなる伏線だった……!

大変な労作。

いわゆる、百物語の体裁は取っていません。伝聞や体験を、目の前にいる百物語参加者に語ってみせる、そういう「体裁」……この点にはこだわってらっしゃいません。
語り手が物語の終わりに亡くなる話もありますし。

学校の怪談が、多めですが、いろんな切り口の怪談があって読んでいて飽きません。
トイレ、理科室、旧校舎、プール……級友の怖い話、クラスメイトとの校外での話……学校の怪談からクトゥルフ神話につながる話もあったり。
学校も子供も出てこない話もあるんですが、ここまで学校関係が多いと、一見関係ないと私が思ってる作品でも、収録別作品とつながってて実は……っていう話もあるかもしれません。

そんなこんなで「学校関係多いな」と読み進めていくと、「九十八」で、その理由が明らかになります。
これは思わず、おお、と納得、唸りますよ。

とにもかくにも九十九話の怪談。
永遠に完成することのない百物語。
表紙カバーの遊びも、怪談らしくてよいです。


宮田秩早