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    The Turning of Short Story

    梓野みかん
    400円
    大衆小説

  • 5編の短編小説集です。

    ●ある年の瀬に、帰りたくなる、それぞれのどこか。・・・「遠野へ」

    ●先生が、私たちに残した四字熟語。・・・「さいごの授業」

    ●「だんごまき」って、知ってますか?ある夏祭りの小さな反乱。・・・「革命、櫓の上より」

    ●人から離れて写真館を営むウノの、特別な三月。・・・「三月彗星」

    ●ダムに沈んだ実家を目にした男の、よみがえる思い。・・・「極彩の庭」

    新書サイズ、88ページ。

試し読み

「革命、櫓の上より」


 夏祭り。
 私が旅に出る理由は、それでじゅうぶんである。
 だんごまき。
 それが祭りの催しに含まれているならば、私は必ず足をむけることにしている。
 だんごまきの「まき」は「巻き」でなく「撒き」である。
もともとは、お釈迦様をしのび御利益を授かるという寺社仏閣における宗教行事のようだ。本堂や境内で、その名のとおりに住職がだんごをぽいぽいと投げてはばら撒き、集まった檀家の者たちが競ってそれを拾う、というものである。拾っただんごは、もちろんそのまま貰ってよい。また、地域によっては新築の家屋の上棟式の際に、似たような行事が「だんごまき」として行われている。その場合はだんごではなく、乾いた餅や駄菓子などが施主によって、梁の上からばら撒かれる。すると事前に下に集まっていた隣近所の大人や子ども、年寄りまでもが、ぶつかりあいのどつきあいで、落ちてきた施しものを拾い合うのだ。ゲットした菓子類は当面のおやつとして子どもたちの顔をホクホクさせ、獲物を狩る本能を刺激された年寄りの肌をイキイキとさせる。
 どちらにしても、明るい行事である。
 であれば、寺とも上棟式とも関係ない、夏祭りの催しとして用いられるのは必定といえる。
「上から落ちてくる、何か良いものを拾いあう」。
 コンテンツとしての骨組みは、夏祭りへもじゅうぶんに置換可能なのだ。
なにしろ夏祭りとくれば盆踊りしかり、モニュメントしかりで、広場に櫓が組まれることが多い。だんごまきの最大のネックである「上」の創出は、櫓の存在において簡単にクリアできる。あとはばらまく駄菓子の用意と、櫓に上がる人員の手配、そして下で拾う者たちの安全対策をいくつか配慮しておけばよい。祭りはたいていその地域の自治会役員が準備するものだから、人員の確保や危険箇所の把握に困難はない。タダでモノが貰える催しが注目されない訳はないから、周知するにも回覧板でこと足りる。当日の開始時間となるころには、拾った菓子を入れるビニール袋を持った住民たちが広場に集結し、櫓を包囲するはずだ。
 かくして熱い、メインイベントのいっちょうあがり、である。
 ピコン、と私のスマホが鳴った。
 ――きなくさい動きがある。

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