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    金曜日は雨がいい

    梓野みかん
    400円
    大衆小説

  • 来月から中学生の明智奈(あけちな)は、自他ともに認める晴れ女。
    でもどうしても卒業式には雨を降らせたくて……。

    青い春の一週間をあなたに♪

    A5サイズ、72ページ。

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(月)

 晴れるに、こしたことはない。
 明智奈(あけちな)はそう思う。
 遠足、運動会、修学旅行、クラブ活動に町の清掃ボランティア。屋内行事の文化祭とて、天候しだいで出足は鈍る。鈍ればバザーの売り上げが落ちる。落ちれば生徒会運営に支障が出る。少なくとも、思うがままには立ち行かない。
 明智奈は今、今年度の収支計算書を眺めて、ニンマリしていた。
 マラソン大会、授業参観に避難訓練。雨が降って都合がいいことなど何もない。そもそも万事、晴天を大前提に進むのだ。雨天など最悪である。日時の変更やら代替案の捻出やら保護者への対応やら、何から何までイレギュラーにカネと人員を奪ってしまい、結果、生徒会予算に累を及ぼしかねない災厄となる。
 計算書の数字は、生徒会長であった明智奈の、いわば通知表である。
 ――ぬかりなし。
 卒業式を金曜日に控え、卒業生に配布する記念品の費用を大幅に増やしてもなお、余裕をもって次期会長に引き継ぐことのできる数字である。
明智奈は計算書から目を上げた。
慣れ親しんだ生徒会室。
来月からは中学生。
「でも、いいんですか。そんなことして」
 湯のみを置いてそう言うのは、次期会長のコバルトである。
「いいもなにも……あ!新しいティーバッグ、これ開けちゃったの?昨日の私の出がらしは?その辺につるしておいたのに。もったいない」
「出がらしがぶら下がった生徒会室なんて、もういやなんですよ僕は」
コバルトが手にする青磁のティーカップから、ダージリンの香りが漂う。その濃厚な色を見て顔をしかめた明智奈は、自分の湯のみに口をつけた。
もったいない。
「次の会長が今からこんな贅沢していいの?知らないよ、予算が足りなくなって学校と生徒から総スカン食らっても。内申点にも響くし」
「いいんです。僕は中学受験しませんし、先輩のように在宅特待生も狙ってませんから。歴代にわたる凡百の生徒会長と同じく、職務を全うできれば十分です。それに僕は明智奈会長のような〈奇跡〉は、とてもとても、起こせませんし」
 奇跡。
 「腹筋」と書かれた湯のみを置いて、明智奈はコバルトを軽くにらんだ。
「ヤなかんじ。あるものはフル活用するのが私の主義なの」
「よくわかってますよ。先輩の下について目の当たりにさせられたらね」
 ティーバッグのことだけでなく。
 コバルトは窓の外に見える青空をちらっと見た。
「……先輩が驚異の〈晴れ女〉だってこと」

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