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    はるかなるトロワ

    梓野みかん
    450円
    大衆小説

  • 17編のショートショート集です。
    各タイトルとなっている3つの言葉を使った、短いお話がいろいろ載っています。タイトル一例はこんな感じ↓。

    「三段論法/パンスペルミア説/ビール」
    「爆上がり/木工ボンド/ツーシーム」
    「グリフィスの傷/LINEの通知/証拠映像」
    「蒸す/レビュー/ダーウィンの海」
    「昨日/ブルースクリーン/いいえ、ケフィアです」
    「ツンデレ/レフェリー/自問自答」・・・

    新書サイズ、120ページ。

試し読み

「エンジン/ディスペンパック/フェルマーの最終定理」


 パキッ、と勢いにまかせて折ったせいだ。
 給食のコッペパンにつけるはずのジャムとマーガリンは、ひと筋のトルネードとなって、アオイの向かいに座るマキタのブラウスを強襲した。アオイが「悪い」と謝る前に、
「ディスペンパック」
と、マキタは言った。眉間にシワを寄せた、いつもの形相である。
「なにそれ、呪文? 火炎系? 氷結系? それとも補助効果? オレ、細菌浸食系はカンベンね」
 ハッ、とマキタがため息を吐き捨てた。
「この容器の正式名称」
 そう言って、マキタは自分の分のジャムとマーガリンのパックを指さした。
「バカやった分、ちょっとは利口になれば、ってこと。まあプラマイゼロ、ってか全然マイナスだけど」
 おかんむり〜、とふざけるアオイを無視して、マキタはさっさとティッシュでブラウスを拭いた。肩から袖のあたりにとびちった赤と白のベトベトを、丁寧にすくってぬぐう。そしてそのティッシュをトレイのすみに置いた。
「オレ、それもらうわ。もったいないし」
 マキタがまたあの顔でニラミをきかせるより早く、アオイはティッシュを捕獲し、そこに乗っかったジャムを自分のコッペパンにつけた。アオイが「うまいうまい」と笑うと、マキタはさもイヤそうに口もとを曲げた。
「キモ」
 まあね〜、と応酬するアオイは、マキタのことが好きである。
 服を汚してしまったのは決してわざとではなかったが、口数の少ないマキタと言葉を交わすことができて、アオイの恋のエンジンは俄然はりきっている。 

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