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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • 文藝誌オートカクテル2015-耽美-

    白昼社アンソロジー
    1000円
    ほか

  • 執筆陣(掲載順)

    伊藤なむあひ
    にゃんしー
    赤木杏
    ひのはらみめい(そにっくなーす)
    山本清風
    牟礼鯨
    霜月ミツカ
    恣意セシル
    ちょまっこりーな
    馬場めぐみ
    水銀
    eb
    泉由良

    「耽美」という単語をそれぞれが咀嚼し、組み上げ直し、「うつくしいとは」ということを全員が丁寧に求め続けて仕上げたアンソロジーです。どうぞ、ご覧下さい。

    装丁画はなかの真実氏。
    巻末に耽美をテーマにした映画コラムのおまけ付きです。

試し読み

 パピ子はかわいそうな女の子だ。

 プリンは一日一個までだしゲームは一日一時間まで。そのうえ昨夜、ダンスホールにてバラバラ死体となってしまったのだ。

 かわいそうなパピ子はダンスホールの片隅、誰もが音楽に気を取られている間に何者かによってバラバラにされた。彼女のそのまだ余計な肉のついていないほっそりとした右手、右足、左手、左足、そしてつるりと卵形の小さな頭は切断され埃だらけのフロアに無造作に転がり、単なる内臓の入れ物と化してしまった。胴体にいたってはその日たまたま近くの動物園から逃げ出したワオキツネザルに親と間違えられたのか素早く持ち去られてしまったのだ。

 かわいそうなパピ子。これはパピ子が未成年にも関わらずダンスホールに行ったこと、そして初めてのダンスホールに浮かれていつもよりもバラバラ死体にされやすい格好をしていたことを差し引いてもまだかわいそうだ。

     (伊藤なむあひ「星に(なって)願いを」より)