ねえ、ニイチ。元気ですか?
ちょっと、なんか、逢いたいなあ。
警察のひとがちょっとだけあなたのことを探しているみたいだけれど、きっと捕まったり怖いことになったりはしないだろうなと思います。司法解剖のひとたちは実際のところ死因はよく分からなかったみたい。ニイチ葬儀に来なくて良かった。ああいうの、嫌いでしょ。あたしも嫌い。まあ、お葬式のときにはあたしはそこには居なかったわけだけれどね。ニイチが居たら、やだったと思う。なんかお葬式ってさ、生きているひとの為のことだよね。
*
ねえ、ニイチ。
愛してるっていう言葉を、あたし勿論ちゃんと知っていたけれどでもやっぱり知らなくって、だからいっぺんもあなたに云いませんでした。すごいすごい好きだったけれど、愛しているとは云わなかった。愛について本当にはちゃんと分からなかったし、そういうのもあるから、だから云うの、怖かった。
でももしかしたら、ニイチがあたしにしてくれたことってさ、全部、ああいうことは愛情だったのかなあって、今になって思ったりします。
普通はしないでしょあんなの。あたしのことを特別にしてくれていたんだなあって思うと、それは、愛だったのかも知れないと思います。
でも、あの、ごめん。
あたしは今でも「愛している」って云うのは、怖い。死んだって怖いものは治らないらしいですね。馬鹿みたいだよね。分かっているのに。愛されていたんだなあって心から思います。そのことを考えると、涙が出そう。
でもやっぱり、あたしからは云えなくて、怖くて。
うん、でもね。
今でも好きだよ。なのになんでああいう風なのは云えないんだろう。泣きそうだよ。
もう、なかなか逢えないね。
でもね、好きです。
それから、
ありがとう