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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • 詩集「夜が濃くなる」

    豆塚エリ
    800円
    詩歌
    ★推薦文を読む

  • もともとおわりなんてないんだから
    じょうずにおよぎきってみせるわ――。

    覚悟も決意も、迷いの中で見つけるもの。すべては夜が濃くなる時に。
    寄り添い、突き放す豆塚エリの6冊目の詩集。
    あなたの本棚にひっそりと咲かせて。

    ご好評いただき装丁を一新して再版。
    新作2作追加、巻末に白昼社・泉由良氏による解説を掲載。

試し読み

排水口

でぐちがほしかっただけだったの、
ほかになにもいらなくて
いつのまにかこんなところまできてしまったわ。

まじわることはないのきっとそれでも
もっととがっていくわきりきりと
わたしたちまじめだったただそれだけ。

ひとりでどこかにいってしまいそうなわたしを
そのめでつなぎとめていて。

もともとおわりなんかないんだから
じょうずにおよぎきってみせるわ。

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濃密な泥濘と、凜として涼しい花の匂いのする詩集

 夜は眠りに近く、眠りは目覚めによって中断するものの、死に近似している。
 死の対偶は生であり、生は性に内包されている。

 本作に色濃く感じられるのは、しんと静まりかえった室内に、あるいは冷ややかな夜気を纏う路上に蟠る死の気配と、闇の孕む濃密な性の薫り。
 性は本来、生に近しくあるはずが、本作においてはどこか死に寄り添うものとして立ち現れるのはなぜだろうか。

 食事の描写がほとんどないのが印象的。ししゃもは棄てられ、たまごも玉葱も腐ってしまい、かりんとう饅頭でようやく空腹を思い出す。
 死に足を浸し、性に未来を求めず、生に執着しない……そのように読めるにもかかわらず、ただひとかけら、違う味わいが全編に隠されている。

 私はそれを、生命力だと感じた。
 どのようにあっても失われない、命。
 夜に包まれた黒い泉に咲く不可視の花。
 濃密な泥濘と、凜として涼しい花の匂いのする詩集。

宮田秩早