花冷や眠る子眠りたくない子 鯨
蝶追いて桜の道 矢野錆助
骨の白さに詫びる 琳譜
ひまわりなど毎年咲くと男子云う 泉由良
あなたの鏡の中のわたしが一番綺麗 霜月ミツカ
鈴虫の音の部品が落ちてゐる 鯨
「足跡」 尾内志帆 見逃してしまいそうなほど細いウッドデッキの階段をのぼると、その店はある。年季の入ったドアを開けると、カランカランとベルが鳴り、カウンターに立つマスターの顔が見える。 「いらっしゃい。」 ―――(続きは本で)―――
「黒南風の警察」 牟礼鯨 平成二十八年四月二十八日、春雨あがりの夜だった。東京都世田谷区の自宅で無修正動画をスマートフォンで観ようとしたら、福岡のド田舎に住む自由律俳句ゴリラこと矢野錆助から着信があった。 「鯨、俺は森井聖大と警察に行って来たところだ」 ―――(続きは本で)―――
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