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「それより、ほら。髪くくってやるよ」 |
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ミズカ、ヨリオ、マイという三人の子どもたちが、 サンヤー号という船に乗って、冒険をするファンタジー小説だ。 物語の舞台にはさまざまな国があり、さまざまな種族がいて、 ある面ではうまくやりつつ、またある面ではうまくやれず、 ――それはちょうど、わたしたちの世界と同じように――、 必死に生きようとしている。 三人の子どもたちを乗せたサンヤー号は、 大海を通じてそんな世界のなかをとおりすぎ、 いろんな人たちや出来事と出会う。 船から降りて出会うひとたちも、船のなかにいる乗組員たちも、 みんな<事情>を抱えているのが印象的だった。 <生きる事情>とでも言うべきだろうか。 誰もが苦しそうで、必死で、 それなのに誰もが自己中心的ではなく、やさしかったのが印象的だった。 例えではなく戦いのなかにいるひとたちが、 どうしてこうも他人にやさしく寄り添えるのだろうか。 それはもしかしたら、作者の希望なのかもしれない。 作者はこの物語を書くために十年近い年月を要したと知った。 この作品は作者の生きる姿そのもので、 からくも希望を持ち続けた作者の十年の記録なのかもしれない。 だから、やさしくて、眩しい。やさしさが眩しい。 推薦するにあたって言いたいのは、 「目を逸らさないでほしい」ということ。 本気で書かれた作品には、本気で応えてほしい。 この作品は、子どもたちに読んでほしい。 大人たちであっても、十年前の心で読んでほしい。 十年間を巻き戻すことができれば、あなたはそこに、希望を見つけるはずだ。 | ||
推薦者 | あまぶん公式推薦文 |