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地球から、遠く遠く離れた宇宙の片隅。 |
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巫女、ティルヴィシェーナがとにかく可愛かったです。 その素直なところも、素直であるが故の強さも、あやうさも。すべてひっくるめて。 この物語は、大まかに説明するなら、 神話や魔界が支配するファンタジー世界に存在する帝国に、ある日突然、SF(メカ)が突っこんできたというもの。 興味深いのは、メカを動かす者も、帝国で魔法を扱う者も、全員、同じ“人間”であるということだ。 異なる環境で育ち、異なる事情を背負っている。けれど意思疎通のできる、見た目も近い、人間同士。 ファンタジーとSF、本来なら相容れないはずのこの二つの世界が、ぶつかり合ったとき、どんな化学反応が起きるのか。第一巻から読みごたえのある、面白い作品です。 互いの世界観が丁寧に描かれてあって、良かったです。 レーザービームや、AIが活躍するバトルも見物です。 技術力があるがゆえの慢心が危機を招いてしまうところなど、とてもリアリティがあって良かったです。 新天地に足を踏み入れる、その第一歩がどうなるか。 カズキとティルの距離もふくめ、気になるところです。 試製第一巻ではありますが、まとまったエピソードでくくられてあったので、すっきり読みきることができました! | ||
推薦者 | 新島みのる |
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これはいつかの私たちの物語かもしれない。 地球という星を離れ、新たに生きる星を探して長い旅に出る。 見つけ、降り立った星が、剣と魔法の世界であったら――? だから私はこれをファンタジーではないものとして読んだ。 男性ならカズキに、女性ならアカリに重ねて読めば、 細かく書き込まれた世界設定は十分なリアリティを与えてくれる。 あなたなら異星の巫女・ティルにどう接し、 どのように答えを導き出すだろうか。 そんなふうに考えてみてもいい。 どうやら簡単な物語ではなさそうだ。 きっと、少し長くなることだろう。 私が読んだのは詩製1巻で、 ようやく星に降り立ったところで物語は始まったばかり。 彼や彼女は、航空母艦あけぼしの人間は、異星の人間とどのように接するのだろうか。 異星の人間が戦う魔族と和解できるのだろうか。 魔龍との再戦はあるのだろうか。 消極的な期待ではあるが、ハッピーエンドにはならないかもしれない。 これは「共生」に一定の解を与える物語だ。 カズキやアカリの視点は侵略者のそれである。 ふたりが「あけぼし」の方針に従順であることも見て窺える。 ひとつ、希望と呼ぶにはあまりにもカタストロフィックな要素を挙げるとするなら、 カズキがおそらく、異星の少女・ティルに恋心を抱いているであろう点だ。 恋愛はしばしば物語における不確定要素となる。 多くの神話がそれによって悲劇と化したように、 もしかするとふたつの星の神話「神域のあけぼし」も、 カズキとティルの関係によっては、同じ終着点を見いだすかもしれない。 ふたりの関係の進展と、登場人物たちの心の行方に注目したい。 ハッピーエンドにはならないかもしれない、と記した。 しかしもし仮にハッピーエンドになるとしたら、きっとそれは、 ふたつの星をまたぐ全ての登場人物に例外なく与えられる祝福だ。 そんな共生がもしあり得るとしたら、物語を越えて希望となる。 | ||
推薦者 | あまぶん公式推薦文 |