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電線で寸断された桔梗色の空の悲哀を、あたしは上手く言い表すことができない。ただぼんやり見上げて、なんかちがう、って首をかしげるだけだ。 |
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この作品は、わたしにとって、生かしてくれる音楽のような存在です。 もう全部ダメな時や、元気をもっと追加したい時、聞くと全身にエネルギーを与えてくれて、 生命力が満ち満ちてくるような歌がいくつかあって、そういうのと同じ感じです。 バンドの人たちの話っていうだけでも最高なんですが、音楽をやっている登場人物たちの感じているわくわく感、好きなことに込める気持ちがそのまま乗り移って、自分もなんかやってやる!という元気が湧いてきます。 ここに出てくる人たちは、「持っている」人たちなんだと思います。才能も、仲間も、努力を当たり前にする性質も、資金も、チャンスも。でも、うらやましいとか、こんなのありえないとか、思わせない。 進める、楽しめる、そういう前向きなパワーが爆音で鳴っていて、そこに引っ張られていく。 聞くと「生きていける」と思える歌が、きっとみんなみんなあると思うので、そういう歌を聴きながら読んでもらったら、より一層楽しめると思います。 登場する架空の曲の歌詞もすごくよくて、しびれる。 それに会話の掛け合いも心地よくて、素敵な人間関係に心がぽかぽかします。 大絶賛します。大好きな作品です。 | ||
推薦者 | ハリ |
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推薦文を書くにあたり、推薦コピーを書くことになっている。 書く前にコピーを決めてから推薦文を書き始めることもあるし、 書き終えた後に推薦文を振り返ってコピーを書くこともある。 いうまでもなく、コピーは大事だ。 だから小説のことを考えて、思い返して、真剣に作る。 この小説の推薦コピーは、すぐに思いついた。 「純度100%の青春バンド小説」 あまりにありきたりすぎて、ちょっと笑ってしまう。 もう半分で、著者の紺堂カヤさんに申し訳なくなる。 でも、このコピーを思いついた直感を信じることにした。 この小説は、春のどこまでも突き抜ける青い空のような、 スカッと爽快で気持ちのいいバンド小説だ。 青春、と呼ぶには、登場人物たちの年齢は高いかもしれない。 みんな大学を卒業して働いているような社会人たちだ。 それが、かつて大学でバンドをやっていた縁に引きずられ、 「天才」深水壮太に引き寄せられ、再びバンドを組むことになる。 音楽をやるにあたり、きっとすごく苦労する話なんだろうな、 なぜかそんな先入観があった。 バイトでお金を稼ぐかたわら、ライブをやってもお客さんは来ない、 ノルマに苦労し、取り置きを流し、年中離れられん金貸し、 「ライブなんで休ませてほしいんですけど」と言えばバイトをクビになり、 「OK、余裕」と呟いたりするBAD END。 (今思えば、なんの予備知識だったんだそれは……) 少しネタバレになるけど、そんな苦しい下積み時代はぜんぜんなかった。 お金には苦労がなかったし、スタジオつきの家まで用意されていた。 そのまま、とんとんとん、と、デビューしてしまう。 そんなところが、なんか、すごくいいな、と思ったのだ。 どうして音楽をやるのに、好きなことをやるのに、 苦労しないといけないと思っていたんだろう? ただ純粋に音楽をやる奏は、亮は、サヤは、楽しそうだった。 きらきら輝いていて眩しかった。 その全てが、小説のフィナーレに結集されていて、 誰もが知っているだろうライブが終わったあとの 狂ったような感動を思い出させた。 そしてきっと、壮太も。 壮太は言う。 「やりたいことがあるのにやらないなんて頭おかしいよ、変だよ」 それだけでよかったのかもしれない。 好きなほうへ、行きたいほうへ 手ノ鳴ルホウヘ 少しだけ未来が好きになる、前向きで気持ちのいい小説だった。 | ||
推薦者 | あまぶん公式推薦文 |