出店者名 人生は緑色
タイトル 魔法のひまわりリーガルユカナ
著者 小高まあな
価格 500円
ジャンル ライトノベル
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紹介文
「僕と契約して魔女っ子弁護士になってよ!」
モモイロインコの姿をした、魔法の国の王子様チャーリー。
彼の王位継承試験に付き合い、魔法の力で弁護士リーガルユカナとなり、法廷に潜む悪魔ゴシーンを退治することになった小学生の桃園由香奈。魔法の力で次々無罪判決を勝ち取り、大人気!

でも、隣の家の憧れのお兄さん、鶴丸検事はリーガルユカナの相手で疲弊気味。
幼なじみの大和は、リーガルユカナに心酔しててうざいし……
イマイチ、リーガルユカナが好きになれない由香奈。
そんな中、大和の父親が逮捕された?!しかもゴシーンが絡んでいない、本当の裁判のようで……。
(case1.雷親父宅放火事件)

2012年に出した同名のコピー本に、
鶴丸検事が主人公のcase2.想い出の君、結婚詐欺事件と、
大和と由香奈の小競り合いのお話case3.チャーリー失踪事件を加えた新装版

Case2.想い出の君、結婚詐欺事件

 思えば、たわいもないことがきっかけだった。
「巨悪をくじき!」
「弱きをたすける!」
「胸に輝く金色の」
「ひまわりバッチは正義の証!」
「我ら、法律戦隊!」
「ベンゴシジャー!」
 五人でポーズを決める。
 幼稚園の園庭。当時人気だった戦隊ヒーロー、法律戦隊ベンゴシジャーごっこをして遊ぶのが、あのころの俺たちの定番だった。
 リーダーのケイジレッドが一番人気だった。いつも誰がレッドをやるのかじゃんけんが大変だった。
 でも、
「ケンサツ・カーン、かっこいいよねー!」
 カサイピンクをやっているミヨちゃんが、楽しそうに、ある日そう言った。
 弟がいて戦隊ヒーローを見ているミヨちゃんは、唯一の女戦士の役をいつもやってくれていた。
「でも、あいつ悪いやつだったじゃん!」
「仲間になったもーん! 悪いやつなんかじゃないよぉー、ライバルなんだよー!」
 ケンサツ・カーンは、最初ベンゴシジャーの敵として現れた。でも、正義を守りたい心は同じ。裁判で真実を求める心は同じ、と先週正式に仲間になったところだ。
 個人的にはちょっとかっこつけてて嫌いだった。でも、ミヨちゃんが好きっていうなら……、
「じゃあ、僕、大きくなったら検察官になるね!」
「わー! アヤくんならなれるよぉー!」
「がんばる!」
 そう、本当にたったそれだけのきっかけ。
 もちろん、それだけで実際に検察官になったわけじゃない。調べていくなかで、目指したいと思う動機がたくさんでてきたから。
 でも、このことがなかったら目指していたかどうかはわからない。
 いずれにしても、
「主文、被告人は無罪」
「またリーガルユカナが勝った!」
「無敗記録更新だ!!」
 傍聴席のざわざわした騒ぎに、ため息をつく。裁判長、黙らせてください。あきらめないで。
 目の前の弁護人は小さく微笑んでいる。
 いずれにしてもこんな、ピンクのフリフリしたスーツを着た、ピンクハリケーンとか呼ばれてる、謎の女と毎日のように顔を合わせて連敗するために検察官になったわけじゃないっ!


これはめちゃくちゃ王道
主人公である魔女っ子由香奈の投げやりなツッコミが冴える、
グタグタ法廷対決。
きちんとした法知識が前提にあるのに、ここまでグダグダになれるとは……という「お約束」に満ち満ちた描写。そして隣のお兄さんとの淡いあれや駆け引きや、同じクラスの男の子も、あーこれ2期物として途中途中のアレだ、と。だいたいゲラゲラ笑ってました。

それでも由香奈がリーガルユカナになって渡るギリギリの橋はすんごく真っ当に「信じること」を掲げていて、このあたりも「お約束」で素敵。魔女っ子はそうでなきゃ。

「お約束」回ネタ、まだあるようなのでお待ちしてます!なんか懐かしかった(笑)
推薦者まるた曜子

無理が道理をフルボッコ
僕と契約して魔女っ子弁護士になってよ、から始まる人情(?)法廷魔女っ子もの。鳥と戦隊ヒーローの影が見え隠れするまあなさんの好きなものがたくさん登場する作品でした。

「魔法の法は法律の法」と、無理が道理をフルボッコにしている一方で、描かれる事件に関わる人間模様にはぐっと掴まれます。法律と裁判と人の関係性にもさりげなく触れられていて、一粒で何度でも楽しめる。
面白かったー!続編待ってます!
推薦者凪野基