蝸牛関係 オカワダアキナ 純文学 pixiv ほか Tweet [作品を読む] 歩く、走る、立ち止まる……を意識して書いた小説です。舞台の浅草周辺はフラットな地形。水平線も地平線もないけど平らな地べたをずんずん歩いて行くイメージがあった。どこまでも歩いていけそう……というよりは、道が歩きやすいから気がついたら遠くまできていたなという感じ。比較的建物が小さく道幅が狭い町だから、歩きのサイズ感に合っているのだと思う。 「蝸牛関係」は人力車のバイトをやっている青年と娼婦のおじいちゃまがゆっくりゆっくり恋人同士になっていく話で、わたしの中ではストレートなラブストーリーで青春小説だと思っています。太宰治賞の二次選考を通過しました。もともとは冒頭の耳かきのところだけ短編として書いて、なんかもうちょっと書けそうだなあと思って続きを書いたものです。夜中の散歩みたいに、気がついたら遠くまできていたみたいな……。 音楽に挙げたのはくるりの「その線は水平線」。自分はもう長いことくるりが好きだし、くるりがどうなってもどう変わっていってもずっと好きだと思う、そのときそのときのくるりを目撃し続け、受け止めていきたい……とは思っているけども、こういうストレートな「くるり」はやっぱりめちゃめちゃうれしい。握ったまんま熱々のおにぎりみたいで、がぶっとかぶりつきたい曲。 「きみの前では笑顔でいたいの」に胸がぎゅっとなるけど、たぶん初っぱなの「荒らされた土を踏みしめて」でわし掴まれている。土、自分の立っている地べたが、もう取り返しのつかないほど荒らされ、自分でもぐちゃぐちゃにしてしまって、でもそこから立ち上がるしかないじゃんかっていう、そんなことはみんなわかっているんだけど改めて「荒らされた土」って歌にしてもらえると、すごくほっとする。荒らされた地べたがあること、傷があることをくるりが知っててくれている。