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    薄明を告げる鐘の音

    桐谷瑞香
    1000円
    エンタメ
    ★推薦文を読む

  •  かつてアスガード都市では『真昼の悲劇』と呼ばれる原因不明の大爆発が起き、多くの人の命を奪った。
     その後、学者の卵テレーズは研究の先生と再会し、爆発の真相を探るために都市を訪れる。そこで男や魔物に襲われるが、警備団の青年マチアスの助けを借りて窮地を脱することができた。
     真相を調べるうちに浮かび上がる、都市を支える組織と奇跡の石の存在。すべてが繋がるとき、都市の鐘の音は鳴り響く。
     二人の男女が青年の意志を継ぎ、都市の転換点を導く長編ファンタジー小説。

    ・文庫/304p/カラーカバー、スピン付き
    ・イラスト:なつみずん様

試し読み

「二人と一匹が相手……」
 護身程度しか短剣を触れないテレーズにとっては、この数が相手となったら逃げるしかない。これだけの至近距離では、得意の弓の利点も生かせないからだ。しかし、魔物に背中を向ければ、あっという間に追いつかれ、襲われるに違いない。
 逃げるにしても、魔物は怯ませる必要があると結論づけた矢先、魔物が動いた。噛みつこうとしてきたため、刃の腹に左手を添えて、両手で短剣を持った状態で牙を受け止める。だが、押してくる魔物の方が力は上だった。
 見る見るうちに短剣の刃は押され、左手に刃が食い込み、血が滴り始める。歯を食いしばりながら耐えるが、限界に近かった。
 不意に魔物の牙が短剣から離れた。予想していなかった動きをされ、テレーズは判断が遅れた。次の瞬間、腹部に魔物の頭突きを受ける。
「……っく!」
 まともに攻撃を受け、地面に背中を打ち付けながら転がった。
 起き上がろうとすると、魔物がテレーズのすぐ横まで移動していた。少し身じろぐなり、威嚇してくる。しかし、動かなくなれば噛みつこうとはしてこなかった。まるで調教された動物のようである。よく見れば首輪をつけていた。
「……ったく、てこずらせやがって」
 男たちが近づいてくる。手には縄が握られていた。
「一緒に来てもらうぞ。テレーズ・ミュルゲ」
 名前を知っている。つまり相手は通りすがりの旅人を狙った盗っ人ではなく、何らかの理由があって、テレーズを狙っているようだ。
 魔物を睨みつけると、逆に牙を近づけられる。人の喉元など簡単にかみ切ってしまいそうな牙だ。

 鼓動が速くなる。
 男が近づいてくる。
 どうする――

「――こんなところで男二人と獣一匹で女をいたぶるとは、あまりいい趣味じゃないな」
 低く、重い、よく響く青年の声。その声には聞き覚えがあった。
 男たちは怪訝な表情で、来た道を振り返る。
 首元でマントを留めた青年が一人、颯爽と裏路地を歩いてきた。暗がりの中でもうっすらと群青色の瞳が見える。行きの馬車で同乗していた護衛の青年だ。
「お前、何者だ。近づくと痛い目に遭うぞ」
 彼は男たちの制止の声など聞かずに、こちらに近づいてくる。
「おい、聞こえねぇのかよ! 忠告はしたからな」
 男が一人、青年に近づく。そして拳を作って、上から殴りかかろうとした。
 だが、彼は表情一つ変えずに、顔の真横で男の拳を捕まえた。ニタリと笑みを浮かべる。
「これで正当防衛ができるな?」

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スズランの愛と共に、次の一歩を

兄を慕う妹、先輩を尊敬する後輩、一人を思う複数人の心に胸が熱くなりました。
守られつつも、自ら考えて動いて戦えるテレーズの活躍がかっこよかったです。ぶっきらぼうだけど根は真っ直ぐで優しいマチアスも、良いなと思いました。
そんな二人の距離感が、障害を乗りこえ、徐々に縮まっていく課程も面白く、見所をあげるならば全部になります。
表紙でオレンジ色に輝いているレソルス石、その設定を存分に活かしながら、様々な立場の登場人物が入り混じり、事態が発展していきます。戦いのシーンも迫力満点です。
事件の謎を解き明かすという意味でも、都市の真の姿を暴き出すという意味でも、二重で楽しめるお話でした!
次の一歩を踏み出せたとわかるエンディング、ちょうどよいボリューム感のオススメ長編です。

新島みのる