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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • Cis.2 サンヤー号にのって

    新島みのる
    800円
    大衆小説
    ★推薦文を読む

  •  海で困っていたところ、助けてくれたのは商業船サンヤー号だった。
     昼は異国の子ども達と遊び、夜はお互いの人生について語り合う。航海は順調に進んでいるように思われた。
     しかし、ある島への上陸をめぐって衝突が起きてしまう。戦後、隔てられた地域を結ぶように船を走らせてきた船長の思いとは。
     友情とは何か。故郷はどこにあるのか。
     マイが本当の自分と向き合う、第二巻。

    ★サイズ;A5 2段組 約280ページ
    ★文字数;約22万文字

試し読み

「それなら、海賊ごっこ遊びをしようよ〜」
 提案したのは、ケビンだ。アオリーヌはその話に乗った。
「いいわね、それにしましょ。じゃあ、はい! 私は海賊船リーヌ号の船長、アオリーヌ!」
 アオリーヌは肩のパフスローブをいからせながら、船尾楼の端まで歩くと、ぱっとふり返ってみせた。その軽やかな身のこなしは、まるで映画の女優のよう。
「『私は、女海賊アオリーヌ! はるか東のはてに眠る、秘宝を探しにいかないか、諸君!』……ってことで、早い者勝ちよ。皆は何になりたい?」
 真っ先に手を上げたのは、マイだった。
「私は、おいしいクッキーをつくるのが、得意ネ。だから、料理人になって皆を応援するネ」
「きゃー! 心強いわ、マイ。ありがとう」
 アオリーヌはマイを引きよせると、肩をぽんとたたいた。
「『マイくん、君はとても腕利きの料理人だ。リーヌ号にふさわしい。歓迎しよう!』」
「『お目にかかれて光栄ですネ、アオリーヌ船長! かならず、お宝を手に入れてやりましょう!』」
 アオリーヌを真似て、台詞っぽい言葉を使いつつも、マイは照れ笑いを隠せない。とてもかわいい。
「つぎは、おいらだー!」
 ケビンは、サンヤー号乗組員の一人の声真似をしてみせた。
「『わしは、伝説の釣り人、ダミー。わしの手にかかれば、釣れない魚などないねぇ! 料理人マイよ、案ずることはない。食材はわしがたんまり用意しよう』」
 にごった声も、きょろきょろした身動きも、ダミー副船長そっくりだ。アオリーヌが腹を抱えて笑う。
「ひきょうよ、ケビン! ダミーさんの名前を使うなんて」
「えー、別にいいだろ。だって、ダミーさんはダミーなんでしょう? ひょっとすると本名は、ケビンかもしれな〜い」
「まあ、いいわ。ケビンは釣り人で決定ね。それで、ミズカはどうする?」
「ええと……」
 さっきから考えているのだが、答えが思いつかない。マイが助け船を出してくれた。
「ミズカは、放課後も塾に通うくらい、たくさん勉強してかしこいネ。だからきっと、航海士がお似合いネ!」
「いいわねー! 航海士ミズカ、ぴったりよ」
 なるほど、航海士という選択肢もあったのか。
 期待に応えようと思って、ミズカも姿勢を正した。アオリーヌに敬礼してみせる。
「『海賊船リーヌ号の航海士、ミズカです。どんな海域も、冷静にきりぬけてみせます! よろしくお願いします』」
 マイもアオリーヌも拍手して、ミズカを迎える。

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充実の海洋小説

一巻との世界観とはガラリとかわって、本格的な海洋物。もちろんファンタジー要素もたっぷりなのですが、二巻の主人公はマイ。彼女の過去や生い立ちが少しずつ掘り下げらていきます。登場人物の数も多く、それぞれが重い過去を背負っていて、たいへん読みごたえのある作品に仕上がっています。番外編で補足される過去もあり、読み終わる頃にはサンヤー号とのお別れがつらくなっているのではないでしょうか。状況は厳しいものの、この船の上は、子どもに優しい世界です。船長さんがなぜそんなに成人女性が苦手なのかは最後まで謎なのですが、本当にいい船に乗せてもらいましたね。
次巻は、魔神も足を踏み入れるのをためらう冷たい管理社会が描かれるということで、作風の幅の広さにも驚かされます。

鳴原あきら