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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • Cis.1 冒険は授業のあとで

    新島みのる
    500円
    大衆小説
    ★推薦文を読む

  •  滅びの時が近づく星、魔神に導かれ、子ども達は運命を変える冒険に出る。
     第一巻の主人公、未珠花(ミズカ)は冒険物語に憧れを抱く小学六年生。魔法の使えない国で普通に暮らしているつもりだった。
    そんな彼女に一枚の魔法がかけられる。
    はたして、日頃の運動不足を克服できるのか。せまりくる敵を前に、戦えるのか。
    前代未聞の籠城戦が繰り広げられる。
    すべてはここから始まった、第一巻。

    ★サイズ;A5 2段組み 約104ページ
    ★文字数;約7万文字

試し読み

「いいなぁ」
 未珠花は小さくつぶやいた。運動場にいる子ども達を見ていると、自分の置かれた現状がひどく惨めに思えてくる。
「どこか遠くへ逃げ出したいな」
 はっとして、首を横にふった。あわてて考えを改める。
 何を言っているんだ、私。今までの苦労を水に流すなんて、できやしないのに! そもそも、ここから逃げれるわけがない。逃げ出してどうする。しっかりしなくては。
 冒険物語のように、なんて、夢をみている場合ではないのだから……。
 未珠花は幼い頃から読書が好きだった。特に冒険や探検記といったジャンルが好きだった。
 しかし、塾の勉強量が増えてきた、四年生くらいからだろうか。逃げてはいけない、その一言で、冒険への憧れを否定するようになった。
 一人娘、周りの大人からの期待を一身に背負っていた。中学受験というレールに乗ったが最後、もう二度と降りることは許されないと思っていた。
 プレッシャーに押されるまま、未珠花は、自分の内にあった望みすべてを諦めてきた。ピアノだってバドミントンだって習い事は全て辞めた。『志望校』に合格するために、何よりも勉強を優先してきた。
 それなのに。六年生になり、膨大な宿題と、頻繁な成績評価の板挟みにあうようになり。
 限度をこえた疲労から、彼女は、とうの昔に諦めていたはずの夢を度々思い起こすようになっていた。
 もし、塾に行かずに済むのなら。中学受験をめぐる、この熾烈で不毛な競争から開放されたなら……。
「その本音、大切にしなよ」
 たたみかけるように、背後から声がかる。
「ふぇ?」
 ふいをつかれ、とんきょうな声を出してしまう。あっと口をおさえてふり返った。いつの間にか誰もいなくなっていた教室に、いつの間にか男子がいた。そいつは分厚い本を読んでいた。
「い、居留江くん! いつからいたの……?」
 未珠花は控えめに尋ねる。対する彼は、本から視線をあげて前を向く。未珠花とは目もあわせないのだが、さりげなく忠告してきた。
「休み時間、あと八分しか残っていませんよ」
「ほんと?」
「時計を見たらどうですか」
 未珠花は黒板の横にかけられた掛け時計に目をやる。彼の言うとおりだった。
 休み時間が終わる五分前には予鈴がなり、生徒たちがどっと運動場から戻ってくる。それまでにノートを仕上げておかないと、厄介だ。
 未珠花はすばやく席に戻った。またあの謎の紙が目に入るも、それどころではなかった。

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書いて形にしたものはすり減らない

日常生活と地続きのファンタジーで、読者がすんなり入って行きやすい物語です。
ファンタジーのお約束もちりばめられていて、好きな人にはたまらないお話なのでは?

私が特に推したいのは、主人公・ミズカの造形の素晴らしさ、そのリアルな子どもらしさ、です。彼女は賢い子で実際に優等生なのですが、それはあくまで子どもの賢さであって、本人が自分の視野の狭さに気づいて落ち込む場面もあり、プロフェッショナルでもなかなか描けないリアルさを感じます。
あとがきによれば、実際に十代の頃に書かれた作品を書き直してこのような形に仕上げていらっしゃるとのことです。
なるほど、若書きの良さがこの作品の中にはあります。
私の大先輩が、後輩にメッセージを求められて、「若い頃に、なんでもいいから作品を完成させておく。そうすると、その部分は年をとってもすり減らない」と答えていたことがあります。つまり、感性はいつまでも、若いままでいられないのです。新島さんは書いて残しておくことによって、十代の自分を自分の中にずっと持ち続けることができたのでしょう。
冒険は始まったばかりで、先は長そうですが、ミズカの迷いとともに読者も成長する物語だと思います。

鳴原あきら

日常から非日常への冒険!正統派児童文学がここにある

現代世界がモデルであるファンタジー世界で繰り広げられる「世界を救う、特殊能力をもつ子どもたち」=スーパーチャレンジャーの冒険譚。

受験勉強のプレッシャーに辟易している主人公・ミズカが、不思議な風の声によって冒険に誘われるスタートに胸がわくわくします。
練りに練られた世界観設定と、優しくも軽快な語り口調に、自然体で飾り気のない、等身大のキャラクター。伏線も冒険もてんこ盛りで、大変読みごたえのある児童文学。
子供たちの冒険だけでなく、様々な国の衝突と、それに伴う問題にも真摯に取り組まれており、丁寧さを感じます。
主役たちである子どもたちの淡い恋や、熱い友情も見所。
個人的にはミズカが落ち込んだり、悩むところに共感しました。居留江くんとの関係がとーっても気になります。魔法が使えない自然国は所謂日本的な国なので、冒険にでるといかに生ぬるい世界なのかがわかります。

読みごたえある児童文学ファンタジー冒険譚がお好きな方にすごくオススメしたいシリーズです。

服部匠

子供達が繰り広げる冒険譚、その始まり!

小学生のミズカはひょんなことから、星の運命を左右する大冒険に巻き込まれます。普通の現実の世界観から始まるかと思いきや、序盤から「おおっ?」となるファンタジー感があり、すごく引き込まれました。冒険仲間のヨルオとマイの兄妹も個性的で楽しい予感しかしません。後半の籠城戦は迫力満点!ラストの引きも強くて、続刊がすぐ読みたくなります。続きも楽しませていただきます!

住本優