【白銀の戦士シルバーシザー】
右手に握ったハサミが、銀の光を放ち、輝く。
静かだった日曜日の図書館に、どこからともなく風が現れ、本のページがパラパラと激しく開かれる。まさに紙の嵐の中、俺はかっと目を見開いた。
「カァァァァット!! ドッターァァァァァァラインッッ!!」
手にした銀色のハサミを、天井を貫く勢いで突き出し、変身スペルを叫んだ。
すると、俺の頭上に現れたのは、白い点線。通称『切り取り線』は、四角に空間を切り取り始める。黒い四角の空間から、白銀に輝く戦闘用スーツ『シザースーツ』が現れ、舞い降りた。
キィン! と金属音が響き、シザースーツが俺の体に装着されると、まばゆい白銀の輝きが周りを照らした。
「白銀の戦士、シルバーシザー見参! おまえのその汚れ、切り取ってやるぜ!」
【ネロ・バリスタ】
「ここから離れて」
くぐもってはいるが、落ち着いた男の声。戸惑っていると「早く」と促され、声のままに後ずさった。
鐘洞が下がったことを確認した男は、なにか巨大な棒状のものを振りおろし、反撃し始める。
ガキン、ガキン、キィン! 金属音が激しくぶつかる音が、闇の中から聞こえてくる。
物陰にしゃがみ、隠れて様子を伺う鐘洞が見たのは、街灯の光を受けて反射する銀色の輝き。男が両手で持つ巨大な棒は、よくよく見ると、鐘洞が日ごろよく使うあるモノの形をしていた。
(エ、エスプレッソマシンのホルダー!?)
【七夕星羅の秘密の夜】
「銀漢の雫よ、織姫と彦星の娘の祈りに応えよ」
私の声と同時に、降りてきた星と、銀漢の雫が共鳴し、光った。
そして、私の体がまばゆい光に包まれると、羽衣のある、ピンクを基本とした着物風の服に変化した。あーあ、鏡を持ってこればよかったなあ、うまく変身できてるのか、不安になっちゃうよ。
それでも私は気を取り直して、最後の仕上げの為に、すう、と息を吸う。
「天の川の輝きとともに! 七夕(たなばた)星羅(せいら)、短冊の願いを叶えに参ります!」
【怪盗C・Bはあきらめない!】
私は冴名(さえな)いおな、32歳。地味以外取り柄のないOLです。
ファッションや恋愛、結婚など、仕事以外はアウト・オブ・眼中な仕事人間だった私。
だけどある日、祖父の遺言で生活が一変。
秘酒の力で12歳の子供に変身し「怪盗C・B(チェリー・ボンボン)」としてお宝を盗み出すことに!