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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • 星と幻夜のセレナーデ

    神奈崎アスカ
    500円
    エンタメ
    ★推薦文を読む

  • 少女は星を探している。願いが叶う星を、世界を渡りながら探している。
    これは、様々な世界へ飛ぶ不思議な力を持った女の子・フィスチェ(優しく素直でちょっとビビり)と、喋る黒い獅子のぬいぐるみ・シオン(気が強くやんちゃ)の旅路を紡いだ物語の欠片。
    流れ星の灯火、川辺の人魚、花に世界を覆われた少女、不思議な夢とレースライン……キラキラ輝く夜空を縫うような、夢と希望のお話を、どうぞあなたのお手元に。ハイファンタジー短編集。

試し読み

『蝶を吐く女』より

 フィスチェの旅路に地図はない。アテなんてもっとない。全てが偶然と運を重ねて連ねての歩みであり、見知った場所――例えばパトロンたる人物が住う館――に意識して行く以外は、どこにどう辿り着くのか、当の本人でさえ分からない。
 だからこそ、身を沈めるような柔いソファに腰を落ち着かせたフィスチェは思うのだ。よかった、今回は比較的安全な場所だ、と。
 踏み出した足が捉えたのは、白亜の館。一辺がない四角のような構造の建物の西、室内とは思えない潤いと緑に囲まれた空間であった。
 だぁれ、あなたは誰? どこから来たの? お客様? けれど、どうやってここに入ってこれたの?
 小さく囁く声はいずれも幼子の声音だが、羽音よりも多い声の輪唱に目を白黒させていたフィスチェを救ったのが、館の主たる女だった。
「――いやはや、玄関から入って来ない客人もいるが、植物園に落ちてきた客人は初めてだよ」
 からりとした声で笑いつつ、フィスチェの向かいで堂々とソファに身を沈め、女は続ける。
「それで、きみは世界を渡る旅をしている、と」
「はい」
 女の問いに素直に頷けば、彼女は、ふむ、と一つ唸った。
 女曰く、フィスチェは何の前触れもなく屋内に、更に付け加えれば植物園の奥、妖精たちが住う区域に落ちてきたらしい。幾重もの声は妖精だったのか、と頭の隅で思いつつ、フィスチェは用意されたティーカップに手を伸ばした。それから、ちらりと視線を女から、だだっ広い室内――女曰く執務室――全域に変える。
 右手一面は窓、左手一面は蝶。
 大小色彩、様々な蝶が同一の硝子の中に等間隔で並び日の光を受ける様は、美しいを通り越した何かを覚える。無理矢理文字に当てはめるなら、狂気。
 安全な場所だと判断するには些か早かったかもしれない。それでもティーカップを手にして、甘い香りを纏う香草茶を口に含んだのは他ならぬフィスチェの意思である。

様々なファンタジー世界を渡りゆく、頼もしい少女の短編集

無限を思わせるような、夢がある広いファンタジー世界で、探し物をしている少女、フィスチェを中心に置いた短編集でした。
本当に様々な世界を渡っていくため、思わぬ危険が迫ることもあります。けれど、どんな時も気をしっかり持って、相棒のぬいぐるみシオンや、心得た武術で乗りきっていく様は格好いいです。時折みせる、フランクなやり取りもあわせて好きです。
黒で統一されたお気に入りのドレスを着て、背筋をのばして踏み出すフィスチェ一歩は、いつだって前進の一歩だと思うのです。
そして、そのような彼女の生き様は、旅中で出会った様々な人々にも良い影響を与えるのだと思います。最後のお話には、特に心が温かくなりました。
キラキラ虹色に輝くおしゃれな表紙もあわせて、オススメの本です!

新島みのる

少女は星を探して世界を巡る

ロリータファッションの少女と相棒の獅子のぬいぐるみが世界を巡る幻想譚短編集。
ある星を探すため、不思議な力を片目に宿した少女はいろんな世界に足を踏み入れます。少女を迎え入れる世界はいいものばかりではなく、各世界の出会いは優しくも怖く、それこそ「悪夢幻夜」のようにどこか不思議な心地にさせてくれます。
素直で優しい少女とちょっと口の悪い相棒と旅をしたい方に、お勧め致します。

椎乃みやこ

ゴスロリ少女とぬいぐるみの世界を渡る旅路。

ロリータファッションをこよなく愛する、槍使いの少女フィスチェと、獅子のぬいぐるみを形どった何かのシオン。1人と1匹がさまざまな世界を渡る旅路を描く、短編集です。彼女らが旅する世界の一つ一つが特徴的で不思議でファンタジーに溢れています。お話も幻想的で、神奈崎ワールドにひたれること間違いなし!スターシステムを導入しているので、あの本で出てきたあの人だ!となるとさらに楽しめますよ!そして可愛いよ、フィスチェ!!

住本優