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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • へにゃぽ

    へにゃらぽっちぽー
    200円
    エンタメ
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  • へにゃらぽっちぽー兄さんはうろうろとして、へにゃぽちゃんは道に迷い、だいこんはおいしい。へにゃぽちゃんの地図はどこにあるのだろうか。短編6編を収録した、へにゃぽちゃんの本。


    目次

    だいこん会社            5

    へにゃらぽっちぽー駅        24

    老舗                30

    美術館               50

    化石                63

    おいしい地図            71

試し読み

 へにゃらぽっちぽー兄さんは新幹線から降りました。ここはどこですか。
「駅です」
 なんですかそれは。
「のりものがやってくるのです」
「べんりです」
 駅では新幹線や特急、いろいろな色やかたちの列車に乗ることができます。地下鉄やモノレール、路面電車、バスやタクシーといった方々もいらっしゃいます。たのしいですね。
「ぽっちぽ! へにゃらぽっちぽー!」
 駅とはすばらしいものです。おいしい駅弁を食べながら列車を眺めて、へにゃらぽっちぽー兄さんは感激しております。


 駅を作りましょう。せっかくなのでみはらしのよいところがいいなあ。
《へにゃらぽっちぽー駅》
 看板をたてれば完成です。
 へにゃらぽっちぽー駅は山です。森を抜けておおきな岩に登りますと、広々とした空と遠くの街がみえます。斜面を降りると、水がしぶきを上げている渓流があります。吹きぬける風は、からりとしてきもちのよいものです。
 このすばらしい駅へ来ていただきましょう。のりもののひとたちを招待しました。

「線路がないといけません」
 おことわりの手紙が届いております。
「滝を登っていくのはちょっと……」
 船のひとも来れないようです。
「たいらなところに着陸したいです」
 飛行機のひともご都合がよろしくありません。
「ちょっといま、でかけているのでむずかしいですね」
 ロケットのひとはけっこう遠くにいます。
「駅は動けないのです」
 駅さんにも断られてしまいました。
 へにゃらぽっちぽー兄さんが招待状を送りつけたひとたちはだれもやってきません。「ぽぽぽ……」と岩に座ってぼんやりしていると、シカのひとやサルのひとが近づいてきます。リスのひともいます。こんにちは。
 この方々はのりものでしょうか。とりあえずシカさんにまたがるへにゃらぽっちぽー兄さんです。よっこらせ。りっぱな角ですね。

「にゃぽ……へにゃぽ……」
 へにゃぽちゃんがやってきました。
「にゃぽ……にゃぽ……」
 山登りは疲れてしまいます。この駅はすこしアクセスが悪いです。
(収録作「へにゃらぽっちぽー駅」より)

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これがへにゃらぽっちぽーわーるど

冒頭の数行で独特の世界につかまってしまいました。
やわらかな字面と文章、目にとびこんでくる名刺のインパクト、しなやかにころがっていく展開。家であったり、駅であったり、自分のなかでそのようであると定めていたものがかろやかにかわされていく妙。それでいてどことなくシュール。とても楽しかったです。

さきは

へにゃらぽっちぽーワールド第六層「概念自在」

へにゃらぽっちぽー氏が書いた、へにゃらぽっちぽー兄さんとへにゃぽちゃんについての短編小説集。本作は6作目であり、1作目から順に、「ぽ」「ぽぽ」「ぽぽぽ」「ぽぽぽぽ」「ぽぽぽぽぽ」と続く。ちなみに最新作は「へ」とのこと。
これだけでも十分氏の作風の独自性が伺えそうなものだが、一貫しているのは「完全な固有名詞をもつ登場人物が上記のふたりしかいない」という点である。たとえば本作においては「だいこん会社代表取締役 だいこん」氏などのように、一般名詞にひどく寄せた概念的な登場人物が大半を占める。
特に本作はかなり挑戦的な短編が目立つ。従前にあげた「だいこん会社」は家がどこかに行ってしまったので家を建ててもらうために大工に電話したらだいこんが来た、というストーリーなのであるが、ぼくがここに書いたこと以上のことは書かれていないはずなのに異常なまでにユーモラスにはなしが進んでいく。思うに、この「異常なユーモア」こそがへにゃらぽっちぽー作品に通観するなにかのひとつの側面であり、氏が持つある種の反抗性を物語っているのではないかと思う。
シリーズに一貫性はなく、本作から読み始めても十分おもしろい。もちろん、「ぽ」から読み始めても、多分おもしろい。ちなみにぼくは「ぽぽぽぽ」から3作目である。
間違いなく、いま最も注目される書き手の最も注目される作品のひとつであるといえるだろう。

ひざのうらはやお