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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • メトロポリタン・マギスペクター

    住本優
    500円
    エンタメ
    ★推薦文を読む

  • 人間や動物などの現実種、エルフや妖精などの幻想種、二つの生物が息づく世界。 共州国第二の都市・羅府世夢(ロズ・セラフィム)の刑事、ジョエル・クライブは、 署内で引きこもり生活を送る少女、アリシア・ハーネット警部と組み、 今日も幻想種がらみの事件に挑む。 凸凹捜査官コンビが贈る、ポリスファンタジーアクション!

試し読み

 扉を軽くノックする。
「ハーネット警部。おはようございます、クライブです」
 返事はない。この部屋の主は一度の呼びかけで応じた試しがなかった。それはジョエルも承知の上でドンドンドンと断続的にノックを繰り返す。
「警部、朝です。仕事をしましょう」
 扉の向こうは沈黙したままだ。ジョエルは深々と溜息をつき、観念したように言った。
「――アリシア、中に入れてくれないか。署長から直々に捜査命令が下った」
 するとようやく部屋の中から音がした。少し待っているとドアがぎぃっと音を立てて開く。
「クライブさん……」
 一言で表すならば、人形のような少女だった。
 踏み荒らされる前の雪のような白い肌、腰の長さまで伸びた黒髪は絹のような光沢をしていて、大きな双眸はまるで深淵を覗いているかのように黒く、気を抜くと吸い込まれそうなほど美しい。縁に金の刺繍が入った紺色のケープの下にレース付きの白いブラウス、スカートはケープと同じ素材のもので揃えられていて、これまた彼女によく似合っていた。細い足はグレーのタイツに包まれており、足は革素材で編み上げのショートブーツを履いている。
 アリシア・ハーネットはつま先をもじもじとすりあわせ、腕の中のクマのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。
「あの……今ちょっと忙しいんですけど」
「何か面倒な仕事でも?」
「いえ。ゲーム・オブ・ザ・デッドのラストシーズンを観てて……」
 共州国全土で人気の連続ドラマである。アリシアはこの事務所に住み着いており、日がな一日テレビを観たり本を読んだりして、誰とも会わず外にも出ない。つまり警察署内で引きこもり生活を送っているのである。カーター署長がそういう条件を提示してスカウトしたらしい。最初に出会った頃は滅茶苦茶だ、と驚いたが、彼女と仕事をするようになって半年、こんな状況にももう慣れてしまった。
 ジョエルは心得たとばかりに一つ頷いた。
「ゲーム・オブ・ザ・デッドなら結末を知っいてる。教えようか?」
「そんな堂々とネタバレすることってあります!? 絶対やめてください!」
「なら捜査に行こう」
「あと三話だけなんで、そこをなんとか」
 ジョエルは引きつった笑みの形に口元を歪めた。
「そうか、わかった。だがこれだけは聞いてくれ。??とりあえずケイトは死ぬぞ」
「いやあああああっ」

魔法がみえる。

同人文芸星人が攻めてきて「この星でいちばんおもしろい文芸同人誌を出せ!さもなくば地球を滅ぼす!」ってなったとき、君が選ぶべき作家のひとりにかならず「住本優」はいる。

そのぐらい、信用しています。住本さんの筆力を。単純にね、上手いんです。すくなくともその点においては、私はとうてい及ばない。だから住本さんの書くエンタメの世界観だとかストーリーだとかキャラクターを余すところなく楽しめる。エンタメ(いわゆるラノベ・エンタメ・大衆小説などなど)を好きなひとのみならず、本をふだん読まないひとにすら、オススメしたい作家です。

さてさて本書「メトロポリタン・マギスペクター」略して「メトポリ」、あいかわらずの住本さんの筆というか、書き込みがすごくしっかりとしていて、なのに読みやすい。だから情景が目に浮かぶ。作中はファンタジーの世界で、見たことのないはずのものなのに、幻想種であるとか、魔法をつかうさまが目に浮かぶんです。
とくにさいごのバトルシーンは圧巻でしたね。たまに小説で「漫画とか映画でみたい」という感想がありますが、この作品は小説のままでいい、小説のままで、スリリングな銃の撃ち合い、魔法のひかるさま、身のこなし、表情、咆哮、なんかがぜんぶ目にうかぶ。単純に、いい小説だなーと思います。それこそ120分の映画を観たときとおなじぐらいの満足感が読後におとずれる。
あと…ね、さいごのちょっとまえのシーン。ないた。あえて、どの場面かはいいません。そういう、人と人との、あるいは幻想種との、けっして幻想ではない心の交わりあいも、読みどころだなあ、と思いました。

電車のなかで読みました。表紙がすごくよくて、タイトルのきんぴかな箔押しとかも、読んでいてうれしくなる本ですね。
ページ数は多くないけれど、内容はもりだくさん。もし住本さんの作品が未読であれば、さいしょの一冊として、ぜひ手に取ってみてください!

にゃんしー

「もっと二人の活躍が見たい!」と思えるナイスコンビ

真面目な眼鏡刑事&引きこもり少女警部のバディ感が最高な一冊。
テンポが良く疾走感あってするすると読んでいけます。バトルシーンのアクションがかっこいい!
短めのお話ですが、笑ったりハラハラしたり感動したりと、面白い要素がぎゅっと詰まっています。
世界観も面白いので、読み終わったら「この世界に言ってこの二人の活躍がもっと見たい!」ってつい思ってしまう、そんな楽しいファンタジー作品です。

そらとぶさかな

爽快!テンポよく読める刑事もの

物語の展開も、キャラクターの魅力も5つ星、オススメの一冊です。
コンパクトサイズで満足感もしっかりあって、すごいと思います。
最後にはジョエルだから、アリシアだから事件が解決するのだと納得しました。
アリシアのお手柄はもちろん、いざという時、思いきった行動に出れるジョエルもかっこよかったです。
見事な能力バトルでした!
表紙の文字が輝く豪華仕様なのも魅力ですよ。

新島みのる