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あまぶんウェブショップ

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  • 作中人物月へ行く

    壬生キヨム
    1000円
    詩歌
    ★推薦文を読む

  • 単行本(ソフトカバー): 80ページ
    出版社: 白昼社
    発売日: 2018/11/25

    紹介
    壬生キヨムの2012年ころから「かばん」その他に発表した短歌をまとめた第一歌集。
    少し不思議な日常、当然のように手を伸ばせば宇宙にとどき、少年愛好家は恋をする。
    潮伽の里はずっと前から縮んでい、それが何か理解できないだけでなくやってはいけないことをしている。

    カバー画:藤白針子
    レイアウト:泉由良

    巻頭にradicalOta×壬生キヨムの絵画と短歌のふたり展の様子をカラーで収録。

試し読み

"《Dr. oyster-berry》

イカロスが決心しそうな晴天に僕は作中人物ですから
あまさとは手紙が届いた夜にだけ飲ませてくれるライチリキュール
心臓がかゆくなるのを恋愛と思っていたけどきつねの嫁入り
さわっても舐めてもいけないあまい粉 人の時間が終わればいれる
以前から思っていたけど弱いよねいのちの手綱をゆっくりと引く
そういえば収集品が増えるたび絞られている気もするこころ
消印がいくつも押された封筒を渡すときだけ痛む心臓
説明はできない粉が落ちていく博士はずっと黙っている夜


《点灯夫のおじさん》

偶然になついたこどもが目に入り優しく出来ないふつうのおとこ
からっぽの空気でできた箱である中身は見えないけれど軽いね
永遠におんなじ時間にやってくる点灯夫のおじさんとなかよくなりたい
いつまでも気になってしまう恋心をクリスマスまでに少しずつ食べる
外は雪で、ピークの過ぎたファミレスで打ちあけるかなり待たせたあとで
パソコンに覚悟を書くため学校の基本に忠実に立ち上げる
年齢が離れすぎると子になりたいくらいのことしか願えないのかな
醜悪な願いだ 息をするようにこの点灯夫に恋をしている

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飾らないやさしさ

 私はこの本の中にある、まっすぐには表現されない、しかし確かに存在する優しさに惹かれた。

<偶然になついたこどもが目に入り優しく出来ないふつうのおとこ>

 《点灯夫のおじさん》の最初に来る歌は特に印象に残った。
 理想的な物語としては、懐いてきた子供に点灯夫も優しく微笑みかけてハッピーエンド、となるべきかもしれない。
 しかし、現実的に考えれば、そう簡単にはいかない。
 点灯夫には点灯夫の仕事があり、急に懐いてきた子供に優しくしろという方が無理な相談だ。
 しかしこの歌の中では、そんな『子供にうまく接することができない点灯夫』を決して責めていない。
 むしろ、『ふつうのおとこ』という言葉の中には、点灯夫のうまく接することができない状態を肯定して、優しく見守っている様子も感じられる。
 その、うわべを飾らない優しさにほっとする。

<合格か不合格かでいうならば合格だけど 兄の才能>
 仲が良いのか悪いのか、どちらともいえないような関係の兄弟。
 それでもやはり、自分の家族への、少し遠回しな優しさを感じるのだ。

こうげつしずり