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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • ねおめろな日々

    住本優
    800円
    エンタメ
    ★推薦文を読む

  • ――五年前、僕らの孤児院は吸血鬼(ヴァンピール)に襲われた―― なんてことはなかった! 長編「ネオメロドラマティック」のスピンオフラブコメ、ここに登場! 特になんの問題もなく、孤児院の仲間と共に過ごしてきた四條綴と愉快なきょうだい達は スーパーのクジで当たったリゾート旅行へ! ……のはずが、海にあったのはボロいホテルと吸血鬼を名乗る宿の主に、彼に付き従うホムンクルスの少女。 まぁ、何はともあれ…… 夏だ! 海だ! 水着でビーチだ! 想いを寄せる雪乃姉さんの水着姿にドキドキを隠せないかと思いきや、 ツインテールの関西弁いじめっ子が何やら分かりづらいツンでデレなモーションをかけてきたりこなかったり! 「これだから綴はダメダメでありんす」 何も無かったのに相変わらず幽霊妹な紡ちゃんもこう言ってるぞ!さぁ、綴の明日はどっちだ! ドシリアス長編「ネオメロドラマティック」の口直しにお贈りする、パラレル・メロメロ・ラブコメ劇場、開幕開幕〜!

試し読み


 四條綴(しじょうつづる)の目の前には、青い海がある。その海面を滑るようにして白い波が寄せては返し、照りつける太陽の光を波飛沫がきらきらと反射する。抜けるような夏の蒼穹は色濃く、水平線の上にはボリュームのある入道雲が我が物顔で鎮座していた。
 綴はパラソルの庇護下から一歩踏み出した。足の裏から伝わるのは、直射日光に炙られた白い砂の熱だ。吹き付ける潮風が磯の香りを運んでくる。その向こうから手を振る人影があった。
「綴さーん! こっちに来て一緒に遊びませんかー?」
 左右に広がる砂浜のその先、海辺の水をつま先で蹴りながら、女神が眩しい笑顔を浮かべている。
 否、彼女??片平雪乃は驚くべきことに人間だ。
 生まれついて持った白く長い髪に、ハイビスカスの髪飾りが愛らしいコントラストを描いている。雪肌を惜しげもなく晒しているビキニ姿に、彼女本来の慎ましさを表すような黄色のレースパレオがまたよく似合っている。
 いくら自制しても、網膜に焼き付いて離れないその美しい佇まいに、綴は緊張から細く長い溜息をついた。
 ??一体、どうしてこうなったのか?
 事の発端は、一昨日に遡る。

事件が…起こらないッ!!

住本優さんといえば…ファンタジー世界で起こる、あっとおどろくような事件。
だがこの作品…事件がまったく「起こらない」のであるッ!

幻想種が…現実種が…幽霊が…魔術人形が…吸血鬼が…
事件を起こさないッ!
ページをめくってもめくっても…!

なのにおもしろい。
というか、めっちゃ、”リア充”ですやん…!
現実種ではなく…リア充!!
いいなあああ、綴。
こんな夏を過ごしてみたい。

というわけできらきらの、とにかく楽しい作品です。
「ネオメロドラマティック」のスピンオフなのですが、原作を知らなくても、ぜんぜん楽しめます。
表紙のとおり、まさに「夏イチ」、これからの夏にふさわしい作品だと思う。
本を開いて、綴たちといっしょに、海水浴に出かけてみよう。

にゃんしー

夏のビーチ、メロメロ魅惑のシーンがいっぱい

同じ著者の本『ネオメロ・ドラマティック』を読んで、気に入った方にぜひオススメしたい本です。主人公の綴達や、敵対した吸血鬼達のキャラクター性はそのまま、楽しいサマーバケーションが繰り広げられます。本作は最高に甘いデザートのような作品でした。本編が終わっても、改めてキャラクターにメロメロになれる作品を出してくださったことにお礼申し上げたいです。
もう、恋のバトルが熱い! 振り回される綴の心臓がもたなくなるんじゃないかと思うくらいに際どいシーンが次から次へと連発します。読んでいてこちらまで口元がにやけてしまって、仕方がありませんでした。マスクをしていて助かりました(目元は絶対に笑っていたと思う)。
コロナ禍で海に遊びに行きづらい昨今ですが、この本を読み終えた頃には、間違いなく明るい気分になれます。ビーチで旅館で遊んでいた気分になれます。ありがとうございました。

新島みのる