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あまぶんウェブショップ

販売は2021年7月31日をもって終了しました。
たくさんのご注文をありがとうございました。
  • 育児アンソロジー1 こどもはかわいい こどもはたいへん

    ありすうちゃ くまっこ 里見ヤスタカ 月島あやの なな 春木のん 双葉屋ほいる 美作驟雨
    500円
    エッセイ
    ★推薦文を読む

  • 育児をテーマにした8人によるノンフィクションアンソロジー。
    エッセイ6作品、短歌1作品、漫画1作品の合計8作品を掲載しています。

    育児をしているひとたちの想いを書き残す場になったらいいな。
    育児をしていないひとたちに育児をしているひとたちの想いが伝わったらいいな。
    という気持ちを込めてつくりました。

    ★目次★
    ・未経験者歓迎! アットホームな職場です。…くまっこ
    ・母ひとり、子ども三人をお風呂に入れる春木のん
    ・夜よ明けるな…双葉屋ほいる
    ・ひとりがふたりになって思うこと(散文的)…里見ヤスタカ
    ・COLUMN 育児にまつわるこんな制度が欲しい! or欲しかった!
    ・子育てについて思うこと…美作驟雨
    ・つきしまさんちのこそだてにっき…月島あやの
    ・言葉の成長が教えてくれたこと…ありすうちゃ
    ・こじらせすぎて(編集後記を含む)…なな

    表紙イラスト 月島あやの
    企画・編集 なな

試し読み

 初めて子どもを産んだのは二〇一五年六月。「育児アンソロ作りたい」とTwitterで呟いていたのは同じ年の九月でした。
 すでに四年も前の出来事。このとき産まれた長女はもうすぐ四歳、その二年後に産まれた次女は二歳。怒涛の日々です。もちろん現在進行中! ……でも、その怒涛の日々の中で、子どもが産まれたときに作りたいと思ったこのアンソロジーをやーっとかたちにできそうです。

 そもそもこのアンソロジーをつくろうと思ったのは、妊娠直後にネットで見た「妊娠・出産の話題は、あまりSNSなどで発言しないほうがいい」というような情報に踊らされ、家族や仕事以外で唯一他人と交流できるTwitterで、妊娠から始まった育児の話題を発言できなくなったことが原因ではないかと。
 ちなみにこの「発言しないほうがいい」の根拠は、流産したり、何らかの理由で赤ちゃんが死んだときに……みたいなことが書かれていました。こういうときネットは良くないですね(いろんなケースがあることを知っておくのは大事ですけど)。流産したり、産まれるときに死んでしまった赤ちゃんの話とかを読み漁ってしまい、とにかく赤ちゃんが産まれるまでは何も書くまいと思いました。
 さらに一人目の妊娠中、二週間ぶりの妊婦健診に行ったところ、妊娠高血圧症候群にかかっていることが判明し、その日のうちに帝王切開により出産。三十四週〇日目でした。正産期という、赤ちゃんが産まれても問題ないといわれている期間は三十七週から。その問題ない期間より三週間早く産まれた長女は、最初の約二週間は保育器に、残り約3週間も入院していました。
 そんなこんなで、妊娠・出産は本当に命懸けである(あった)、ということを実感したわたしは、ますますSNSに何も書けなくなったのでした。

※なな「こじらせすぎて(編集後記を含む)」より

それはお隣さんの、続いていく日常のお話。

「こどもはかわいい こどもはたいへん」

 本書はそう銘打たれた育児エッセイ集です。
 こどもを育てたこともなく、これから育てる予定もない人間は、どういう姿勢で読めばいいんだろう…?
 そう首を傾げる自分がいなかったと言えば嘘になりますが、装丁のかわいさ、そして知っている方が何人か寄稿されているという理由で、手を伸ばしてみました。

 ……手に入れて良かった。

 読み始めてすぐにそう思いました。
 こどもはかわいい。こどもはたいへん――
 知識としては知っているつもりでした。言葉が通じないこどもを、「目を離しても死なない」状態までまず育てなくてはいけない親の大変さ。ワンオペ育児の心細さや苦労。時折、それに勝るしあわせが得られること。笑うこどものいとけなさ。イヤイヤ期。魔の二歳児。
断乳。夜泣き。
 SNSなどで発信される言葉や、職場の人の断片的な話で見聞きしたことがあるものと同じ現象。だけど、そこで悩み、戸惑い、成功体験を得るお母さんやお父さんの語りは唯一無二のものです。

 なんでこんなに面白く読めたんだろう。そう思った時に、育児をしたことのない人に「開く」心遣いのようなことを考えました。
 人生で何度も出くわしてきた、「わかるでしょ、あれよ、あれ」「知らないの? だめね、経験のない人は」みたいな圧迫がなく、「こちらはこういう世界なんですよ」と語りかけてくれる。その生身の声のあたたかさで、気付くのです。
 赤ちゃんのいる世界はすぐ近くにあるもの。聞いていると、育児というお仕事の回し方のお話だったり、職場をどう最適化するかというお話だったりする。育児幻想を盲信しない冷静さに共感しながら、身近な体験に置き換えて「わかるなぁ」と思ったり、「それは社会がおかしい!」と身を乗り出したくもなる。
 結局、「お隣にいそう」と感じられる人間のお話ならば、ジャンルはなんでも読めたりするもので、そこは普段フィクションを書(描)かれている方の底力。
 接点がこれまでなかった世界と自分とを、つないでくれる本です。

あずみ

子育てのリアルを感じられる1冊

 ノンフィクションアンソロジーとあるとおり、様々なご家庭の・様々な状況の・様々なお子さんと親御さんの関わり合いが、リアルに追体験できる本。
 私は現在2歳の子を育てていて、妊娠してからは○○くらぶ的な育児雑誌を愛読書にしています。
「来月にはうちの子、こんな感じに成長するのかな〜」
「ほうほう、共働きのご家庭の育児スケジュールはこんな感じなのね!」
 なんて、他のご家庭の育児の様子を覗き見するのが大好きなのですが、このアンソロジーには、そういった雑誌のキラキラ子育てエピソードとはまたひと味違う「こどもはたいへん」部分多めのお話がずらりずらりと並んでいて、つい「うわあ」「うへえ」「うんうん」「えっそんな」「あー」「わかるわー」なんてブツブツ言いながら読み耽ってしまいます。
 それでも、そのとっても「たいへん」なエピソードを語る行間からは、なぜかどうしてか滲み出る愛をどの作品からも感じてしまう。
 ああ、これが「こどもはかわいい」なんだなと。読み終われば「こどもはかわいい こどもはたいへん」というタイトルがストンと落ちてくる。
 うちの子すごく可愛いんですよーなんて言葉を使わなくても、大変さのなかにも滲み出てしまう愛までを楽しめる1冊。
 ぜったいに大変なのだけど、なぜかほっこりもできる育児の追体験を、このアンソロジーでしてみませんか^^

くまっこ