【作品を読んでもらうための同人活動】
「ずんばさんは、若手の文芸同人作家からすれば憧れの存在だよ」
とあるイベントで隣り合ったサークルさんから、そんな言葉をいただいた。
それを聞いて、僕は戸惑いを覚えた。
その方は僕の同人活動をとてもよく見てくださっていて、先の言葉も本意から出たものなのは理解できた。僕は若手の一次創作文芸同人作家幾人かから、多かれ少なかれ憧れを抱かれているらしい。
(中略)
最近、いろいろなサークルさんから憧れというか、尊敬というか、なんともこそばゆくなる眼差しを向けられる。光栄なのだが、やはり、戸惑う。
僕よりたくさんの作品を頒布する同人小説家はいるし、なにより僕は駆け出しのペーペーだ。ここまで来られたのも、多くの方の後押しと、それから先輩同人作家から学んだものがあってのことである。大手サークルとはとてもいえたものじゃないし、ツイッターのフォロワーも三ケタである。たぶん、世間からすれば僕なんて無名の極小サークルにすぎない。
しかしながら、幸せなことにたくさんの読者に恵まれている。イベントに出ると「ブースへ遊びに行きました」「帰りの電車で作品読みました」「実際に行った気分になる素敵な小説です」といったふうに、たくさんの感想をいただく。なかにはひとつのツイートに収まりきらない感想や、ブログ記事まるまる一本の感想を書いていただいたりもした。僕の書いた作品たちは、実に素敵な読者に恵まれている。
小説系サークルは、なかなか作品をお渡しするチャンスが乏しい。
(中略)
しかし、しかしである。一見だけでは少しの魅力も伝えられない作品であるが、作者にとっては、かけがえのない、大切な、最高に面白い物語が収まっている……これは紛れもない事実なのだ!
(中略)
本格的に同人活動を始めたときから、「どうすれば自分の作品を知ってもらって、手に取ってもらって、読んでもらえるか」を真剣に考え、工夫を続けていったのは間違いない。
このエッセイは、どうにかこうにか作品のことを知ってもらい、手に取ってもらい、読んでもらい、大切にしてもらえるために、僕が足掻きに足掻いた搾り汁である。
(中略)
以後、数多くのイベントへの参加や日々の告知などをしているのだが、そのなかでいくつか心掛けていることがある。
・読者の立場になって、作品に身を捧げる
・クリエイターを敬い、慕う
・イベントを心の底から楽しむ
この三点について、ひとつずつ詳しく述べていきたい。