ひととあやかしの交錯する6編の物語です。
「現代人外住宅事情」
マンションと座敷童。座敷童の効果範囲って、実のところどうなんでしょう?
切実ながら、可愛らしいやりとりのあと……そっと冷たさが忍び寄ります。
「水面にゆれる朱」
子供の頃、飼っていた亀や金魚のことをふと思い出す物語。
子供らしい真摯さと無責任、そして「世界」を知りたくなってしまったあやかしの、すこし哀しい物語。
「雨夜の月」
男のために用意される夕食。それは……
すべてを見ている存在がいったいだれなのか。
最後の一文で、すとんと話が落ち、そして怖さが忍び寄ってきます。
「黒衣の天使と夜の扉」
案外、彼女のような状況で、どうにかなってしまうひとは多いのかもしれません。
そして、そういう事例を、世間は魔が差した……というのかも。
魔と、それに対抗する者の世界を垣間見る物語。
「夜型のあしながおじさん」
可愛いお話です。いや……案外、もう相手も感づいてたり、最初は驚いてもそのまますんなり行くのじゃないのかな……
歳を取らないのも、ときどき不自由ですね。
「ざしきわらしちゃんと!」
さらに可愛いお話! ざしきわらしちゃんを引き留めるには、なかなかいい手段なのかも?
怖かったり、しんみりしたり、可愛かったり。
作楽さんの縦横無尽に展開する物語が堪能できます。
宮田秩早