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薄い桃色のぶたの縫いぐるみを持っている。名前は、バムセという。 |
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「さよなら楓ちゃん」は、女の子ふたりの物語だ。お互いがお互いを好きだった女の子たちの、言葉で表現するのがむずかしい感情を、あるいは関係性を、物語であらわしている。積み重ねられた出来事でしか表現できないものが、あるのかもしれない。 わたしがそう感じたのは、自分にも、むかし特別な女の子がいたからだ。恋情とは思えず、でも友情と呼ぶには重すぎて、その子に向ける感情をどう呼べばいいのか、いま振り返ってみてもよくわからない。ただ、その子のことがとてもとても好きだった。「さよなら楓ちゃん」を読んで、そのことを思い出した。 とてもリアルで、でも夢のような甘さをまとい、そして途方もないさみしさあるいは苦さあるいは不器用さを抱えたこの物語は、女の子という概念そのもののようにすら思えて、とても好きだ。とても。わたしはもう女の子なんて年齢ではないけれど、その時間は遠く離れてしまったけれど、でも、だからこそ、なつかしくて、なつかしくて、たまらない気持ちになった。 かつて女の子だったひとたちに、あるいは女の子を胸のうちに抱えたことのあるひとたちに、おすすめしたい物語である。 | ||
推薦者 | なな |