出店者名 ペーパーカンパニー
タイトル Silly Girl
著者 月島あやの、正岡紗季
価格 600円
ジャンル 恋愛
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紹介文
漫画と小説、R18
正岡の小説オトノ三部作からのスピンオフですが単独でお楽しみいただけます。
主に『ほどけないで』『オトノないがくふ notes sans musique』から。

月島あやのさんの漫画を2篇、正岡紗季の小説を4篇で構成しています。
漫画のうち1篇は『オトノないがくふ notes sans musique』に載りそうで載ったような一部ボツったような詩を、漫画にしてくださいました。
詩→漫画の展開をどうぞお楽しみに!

 スリッパの音。に、顔を身体ごと背けた。勢いで脱がされたときとは違う。まるで好んで裸で待っていたみたいで心のやり場に困る。
「はずかしいの? 裸なのはおれもいっしょだよ、」
 そういう問題じゃなくて。
 松本さんは
「見えてないし」
と下手に腰をかけ、ヘッドボード(っていうんだっけ)に手を伸ばしてメガネとコンドームを置いた。腕を回されるのかと思った。
 そっか、持ってたんだ。松本さんはいつからそういうつもりでいましたか。と稲塚さんにこの質問をしたら小さくなってしまっt
 耳の内側が敏感なのを松本さんはもう知ってる。首筋をつたった指が下唇を撫で、口に深く割り込んできた。
「おれのわがままを真似してみない? 怒んないから」
 うん。と頷く拍子に指を飲みそうになる。指を抜くポーカーフェイスは口角をわずかに上げた。気がする。
「じゃあわがまま言うよ。嫌なら嫌ってわがまま言うこと」
 頷くのとどちらが早いか耳に湿った息がかかる。
「どうして禁煙したかわかる?」
 まさか。
「新人さん紹介探したんだよねー、社内報。わがままかもしんないけど抱きたい。いい?」
 この問いに対する「うん」は明確な合意であって相槌ではない。ずるいな、と思ったけど嫌というほど嫌ではない。同時に、上手に断るには難しい相手なんじゃないかと思った。ら、
「何かいっこわがまま言って」
 咄嗟に思い浮かばず、痛くしないでと言った。
「粘膜が弱いのかも、肌も薄いし」
 その場で平気だと、後から時間差で痛くなってもノーが伝わらない。次回があれば、あの時平気だったじゃん、感じてたじゃん、と、口で言われなくても伝わってくる。ばーか。
 松本さんはどうだろう。納得したように何かつぶやいて、私をベッドに横にした。
 あ、はずかしい。ブラインド越しの騒々しい灯りに裸が浮かび上がる。
 松本さんは、結び目を確認するように手首に触れた。腕の内側を撫でられる。くすぐったい。ネクタイが衣ずれの音を立てた。
 絡まない指を絡められ、乾いた唇で腕をなぞられて身体がこわばる。左右の鎖骨を内から外へ、両手の指先で確かめて、その手を乳房へと這わせ、包み、
「寄せてー」
 持ち上げた。
「上げる」
 呆気にとられていると、にわかに手に力を入れ乳房を掴み潰して
「小さく見せるブラ。って需要あんの?」
 笑みをこぼしたら、松本さんは
「楽しい?」