出店者名 野間みつね
タイトル エモーショナル・サイオニック
著者 野間みつね
価格 450円
ジャンル そのほか
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紹介文
銀河連邦の植民惑星間を航行する旅客船フェントーク号が、バニラ星上空で原因不明の操船不能に陥り、墜落――挙式間近の>婚約者をこの事故で喪ったジュード・ナリタ青年は、だが、それが事故ではなく、二百年以上も生きている伝説の超能力者クレイン・ロードにより人為的に引き起こされたものだと証し立てる映像を見せられる……▼野間みつねが中学〜高校時代に書き散らしていた『レジェンダリィ・クレイン』──未来世界で生きる超絶超能力者クレインこと頼山紀博青年が主人公のSF(?)シリーズから一作品を選び、大幅に加筆改稿。書き下ろし番外編「異動」も収録。▼92ページ単巻読み切りという取っ付き易さからか(?)、拙作の中では割に多くの方から好意的な御感想を頂けている作品です。当方の現在の作品群の主流とは言えませんが、源流ではあります。

 客船フェントーク号は、バニラ星の大気圏に突入しようとしていた。
 エセルがラウンジから自席に戻り、シートベルトを着用して間なしに、がくんと大きな揺れが来た。
 恐らく、大気圏に突入したのだろう。そう思いながらシートに背を預けた彼女は、次の瞬間、更に大きな揺れで、前につんのめった。
 そちこちで悲鳴が上がる。
 エセルは咄嗟に船の外を透視眼で見回し――声を失った。
 フェントーク号の船首がほぼ真下を向き[#「ほぼ真下を向き」に傍点]、船体が炎に包まれていた。
 軍用船ほど外壁に耐久力のない客船は、普通、急角度の大気圏突入を避ける筈だ。さもなければ、外壁が摩擦熱に耐えられない。それなのに、どうして、船首が真下を向いているのか!?
「――落ちてる!」
 誰かが上げた叫びで、乗客達のパニックに火が点く。逃げ出そうと立ち上がる者まで居たが、立ち上がった途端に転倒し、通路に投げ出される。船の揺れは最早無視出来ないほど激しくなっていた。客室乗務員達が「落ち着いてください! シートベルトを外さないでください!」と必死で宥めるも、現実に客室内の温度が急激に上昇し始め、船体が軋む音まで響いては、落ち着けと言う方が無理であった。
 ふと――
 エセルは、自分の右隣に座っている、カーキ色のジャケットを羽織った青いサングラスの男に目を留《と》めた。この騒ぎの中、腕組みをして無表情に座っている。目の表情は、濃い青に遮られていて読み取れない。エセルは奇妙な戸惑いに胸を掴まれた。彼女の超感覚は鈍っていない。なのに、何故か、男のサングラスの内側を覗き見ることが出来ない。
(防がれてるの……? 超能力者《サイオニック》?)
 そう言えば、マスタード星の宙港を出た時には、自分の隣の席は空《あ》いていた筈だ。途中で立ち寄った他の星で乗船してきたのだろうか。
 いつの間にか隣席となっている黒髪の男の不自然なまでの平静さ、そして不可解さ――それらがまるで凶兆のように感じられ、エセルは、半ば引き込まれるように、相手の心に精神感応《テレパシー》の手を伸ばした。
 だが、男の意識は、何かの皮膜に覆われたように、不明瞭だった。

   ――「第一章 策謀」より


超能力者《サイオニック》のルビ振りでカッコよさを感じてほしい
伝説の超能力者「クレイン・ロード」と、新たな超能力者とのスリル&情に溢れたSF作品。曰くつきの過去持ち・最強設定・老けない・情にもろい・強い青年って……かっこよすぎる……!!
超能力者としての異端に悩み葛藤しつつも、それでも生きるキャラクターに心を打たれます。 ヒュー・マッカーサーのキャラ付けもただの悪役じゃない所がミソ。この、キャラクターとキャラクターの過去などをリンクさせる感じがたまりません。
しっかりとした地の文と、世界観の広がりを見せつつコンパクトにまとめられた本なので、初めての方にもお勧めです。宇宙を舞台にした超能力ものSFにご興味のある方、是非に!
推薦者服部匠



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