出店者名 藍色のモノローグ
タイトル white minds 第2巻
著者 藍間真珠
価格 800円
ジャンル ファンタジー
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紹介文
違法者を取り締まるべく異世界へ派遣された神技隊。狙われるはずのない彼らを襲ってきたのは、「第十八隊シークレット」そっくりの五人組だった。
『上』は彼らの正体を探ろうと画策するが、謎の獣の乱入があり結実せず。そんな最中、神魔世界ではリシヤの空間の歪みが増したため、神技隊の一部が調査に乗り出すことになった。
その一方で『ゲート』の異変に気づいた梅花は、元神技隊である両親と再会して……。
謎と愛憎陰謀渦巻くSF、現代風味の群像ファンタジー。第2巻

「あなたは私を捜していたの?」
 柔らかい布を抱きしめ、梅花はゆっくり頭を傾けた。辿ってきたということは、つまりそういうことなのか。レーナはさらに顔をほころばせ、悠然と頷く。
「そうだよ。オリジナルに会うために。そのためにこの星に来たんだ」
 亜空間で見た時と同じ、心底そう思っているとわかる微笑。戸惑った梅花は閉口した。神技隊を襲ってきたと思ったら会いたかったと口にする、レーナの意図がわからない。けれども嘘を吐いているとは感じられなかった。根拠はないが、勘だ。そして今の一言で決定的となったことがある。この星と言うからには、レーナが宇宙から来たのは間違いない。
「ずっとこの時を待っていた。そのために、準備をしてきた。ようやくここまで来た。手遅れにならなくて本当によかったと思っている」
 しみじみとしたレーナの口調から、感じるものがあった。梅花は布の端をぎゅっと掴み、つと瞳を細める。この気持ちは何だろう。むずがゆいとも違う、じんわりと染み込んでくる感情がある。
「レーナは……苦労してきたのね」
 ぽつりと漏れた言葉は、梅花自身にも意外なものだった。労るつもりなどなかったが、素直な感想がこぼれ落ちた。レーナが一瞬だけ、驚いたように息を止めたのが伝わってくる。いくら雨音が強くともわかる、肌に直接触れるような喫驚の気配だ。
「――そうだな、色々あったな。でもそれも、今こうしてオリジナルの傍にいるためなら、意味があったと思える」
 感慨深そうなレーナの言葉に、梅花はどう返答していいのかと困惑した。そうさせるだけの価値が、自分にあるとは思えない。いつもずっと、必要とされてきたのは能力だけだ。しかしレーナがそれを求めているとは思えなかった。レーナの方が遙かに力を持っている。
「オリジナルがいなければ、われは存在しなかった」
「あなたたちは、何者なの?」
 思い切って、梅花はそう問いかけた。ずっと胸の中に抱いていた疑問を吐き出した。確かな繋がりがあるというのなら、レーナたちは一体何者なのか。どうして同じ姿をしているのか。だが肝心な質問に対しては、レーナは首を振るだけだ。
「それを説明するには、色々なものが足りないな」
「私の知識がってこと?」
「それもある。単に状況がそこまで進んでいないとも。全て、タイミングというものがある」
 もったいぶった話しぶりは、そのタイミングをはかっているのか? 梅花は目を伏せた。