「血とバラ」 原題:Et mourir de plaisir 1960年製作(仏) 日本版はVHSのみ海外版はDVDあり。 監督:ロジェ・ヴァディム 脚本:クロード・ブリュレほか 原作:ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ 『カーミラ』 レオポルド・カーンスタイン:メル・ファーラー ジョルジア・モンテベルディ:エルザ・マルティネッリ カーミラ:アネット・ヴァディム ジャンル:幻想芸術/ホラー 時代背景:1960年代イタリア・ローマ
『あらすじ』 《「科学万能の世の中で、心霊を信じますか?」というモノローグが入る。》 カーンシュタイン家のレオポルドとジョルジアの婚約パーティが間近に迫った日。 レオポルドとジョルジアは、仲間内の打ち合わせで、婚約パーティを盛大に行うべく、花火をあげる企画をする。花火師は修道院跡に花火を仕掛ける提案をするが、その場所にはカーンスタイン家の吸血鬼、ミラーカが眠るという伝説があった。 レオポルドの幼なじみのカーミラはレオポルドに思いを寄せており、その容姿は広間の肖像画にある伝説のミラーカにそっくりである。 そしてカーミラと同じようにいとこに恋をし、おのれが死んでしまった後も、自分以外の女性といとこが結婚することが許せず、いとこがめとった妻を次々に殺していったミラーカの思いが、カーミラに憑依する。 ミラーカに憑依されたカーミラは、婚約パーティの夜、ミラーカの白いドレスをまとい、修道院跡へと彷徨い出すのだった。 折しも花火師の仕掛けた花火の火が、修道院跡に隠されていたナチスドイツの爆薬に引火、大爆発が起き、修道院跡にあった秘密の墓所の扉が開く。 カーミラは墓所に安置されたミラーカの棺に触れ、その封印を破ってしまう……
『物語のあれこれ』 原作はレ・ファニュの「カーミラ」ということになっていますが、時代背景もシナリオも、だいぶ違います。 原作では、カルンスタイン伯爵夫人マーカラが、自身の墓所から抜け出し、ほかの貴族の家庭で庇護を受けながら、その家族の娘の血を吸って仲間を増やしてゆく物語です。 ただし、原作にある「あなたは私のもの。絶対に私のものにするわ。あなたと私は、いつまでもひとつですわ」(亜紀書房「女吸血鬼カーミラ」永井那智子訳)この台詞は、本作「血とバラ」では、「ロジェ・ヴァディム解釈」で見事に表現されています。
《後略》
|