尼崎文学だらけ
ブース 純文学2
キスとレモネード
タイトル 月光浴
著者 彩村菊乃
価格 400円
カテゴリ 詩歌
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紹介文
様々な「夜」をテーマにした歌集。
はいから宇宙生物のひらのみやことコラボしたカリグラ文学フルカラー口絵2ページ収録。
めくるめく夜に、息を殺して。

月光に晒されしものみな白く骨まで透かされているようで

ミッドナイトブルー無人の子供部屋 熊の屍転がってをり

ぬけがらにくさった水はよくしみる ネーブルオレンジみたいな月だ

(真夜中の水道水はぬるくてあまい)



乳色のか細き頸に触れもせで只吐く息を見つめるあなた

ここはバクテリアの世界だからあとはもうみんなばらばらに溶けて死ぬだけ

清らかなおさなごのまま腐りゆく身体脱ぎ捨て振り向けば春

(ユートピア)



いつだってそういうものだ裏庭の薔薇は誰にも知られずに咲く

よるべなき夜の我みちびくように血潮の如く赤きガーベラ

もうじきに羽化しそうです 透明な翅は引き裂かれるためにある

(星降る夜)