月光に晒されしものみな白く骨まで透かされているようで
ミッドナイトブルー無人の子供部屋 熊の屍転がってをり
ぬけがらにくさった水はよくしみる ネーブルオレンジみたいな月だ
(真夜中の水道水はぬるくてあまい)
乳色のか細き頸に触れもせで只吐く息を見つめるあなた
ここはバクテリアの世界だからあとはもうみんなばらばらに溶けて死ぬだけ
清らかなおさなごのまま腐りゆく身体脱ぎ捨て振り向けば春
(ユートピア)
いつだってそういうものだ裏庭の薔薇は誰にも知られずに咲く
よるべなき夜の我みちびくように血潮の如く赤きガーベラ
もうじきに羽化しそうです 透明な翅は引き裂かれるためにある
(星降る夜)
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