そうなるまでに、一週間でよかった。当然、こちらが包囲する側だ。 これがKだ。 THUKIは自軍の陣で、深く頷いた。 もうすぐ、敵軍は墜ちる。 昨日は二番目の弟、ROKEが霊魔滅殺隊を率い、敵のトロールの鉱山を廃墟にした。 同じ日、末の弟、KOSEが、人機滅殺隊を率い、敵軍の戦車隊を壊滅させた。 「YOKI!」 「分かった! 親父! 俺が先陣だ! 突撃ぃいいい!」 兵糧攻めなどしない。突撃につぐ突撃を。 勝負は迅速に、そして、残酷に。 YOKIがオレンジの髪にヘルメットを被り、疾っていく。 すぐさま敵の弾丸が、YOKIを狙って降り注ぐ。 YOKIは太刀を抜き。 それらを、斬った。 あり得ない、と敵軍が唖然とする。 無理も無い。 前回、弾丸を斬ったところを見た兵は、もうみんな死んでしまっているのだから。 「バリケード落とせええええ!」 三千は超えるであろう、敵軍に向かい、YOKIはかっと口を開いて怒鳴る。 AK47のコピーを握りしめ、敵兵は一斉に撃ってくる。 砂塵に視界が悪い。 風が熱い。 この熱風は、敵軍の生きたいという、意思だ。 命のあらんかぎりの叫びだ。 それを、YOKIは、一閃した。 敵兵の首や胴体と同時に、三十メートル先の敵軍の籠るビルまでが、一刀両断される。 太刀の剣圧で、斬ったのだ。 YOKIの剣圧は、何十メートルもの先を両断する。 大丈夫だ、俺にもできる。 知らぬ間に、THUKIは自分にそう言っていた。 何だ、今の言葉は。 胸中で言った言葉が、信じられず再び胸中で自問する。 勝鬨の中、THUKIは顔に手を当てる。 俺は何を恐れている? 「負けそう?」 顔に手を当てた儘、背後からした甲高い声に振り向いた。 振り返った先には少女が居た。
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