『また、六月十五日が来ました。会いたいです』 送信したあと、涙がボロボロ落ちた。どうしているんだろう。私が今、頑張っているのは哲史くんのおかげなのに。時代は、LINEに移っていたけれど、何度、友達検索をかけても哲史くんの名前は出てこない。反対にメールは着信エラーが来ることはないので、きっと読んでいる。そう信じている。いつかは、返信が来るはずだ、と。(三上弥栄 「十年アラーム」より)
知らないふりは簡単だ。そのことを深く考えないようにすれば、いいだけだ。物書きとしては有り得ない態度かもしれないとは思っていたけれど、あまりにも思いが強すぎると、失った時の反動は恐ろしく辛くなる。距離を取ることはとても大切なことなのだ。(浅岡千晶 「透明な水を湛える」より)
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