■たまにはいつものずるやすみ たいそう不愉快といった雰囲気で、鏡の中の自分に睨まれた。寝起きの気分は最悪だ。悪い夢でも見たのか、べたつく汗が体を覆っていた。実像のない不快感が払いようもなく全身を包んでいる。 冷水を顔に被ってから鏡を見つめ直した。昔から人よりやや毛深いので、油断すると顔にも産毛が生えてきてしまう。元気があれば顔剃りをしたいところだが、どうにも気分が冴えない。今度は私が鏡の中の自分を睨んで、洗面所を出た。「父さん、今日は学校休むよ」