出店者名 人生は緑色
タイトル メタリッカー
著者 小高まあな
価格 800円
ジャンル ライトノベル
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紹介文
半年前、突如として現れた謎の怪物X。
Xから人々を救ったのは、どこからともなく現れた銀色の戦士・メタリッカーだった!
メタリッカーの正体は、高飛車だけど賢いお嬢様・鈴間屋アリス付きの運転手・白藤銀次。
そしてメタリッカーの誕生には、アリスの父親が関わっていて……。

見た目はメタルヒーロー、
出自は仮面ライダー、
中身は少女漫画! な変身ヒーローラノベ

「鳥類戦隊バードマン! このあとすぐっ!」
 テレビ画面で、男が叫んだ。
 何本かのCMを挟んで、軽快なメロディが流れる。
「戦え! 僕らの鳥類戦隊バードマン」
 さきほどと同じ声で誰かが吠えた。
 メロディのむこうでは、色々と爆発している。
「お嬢様」
 大きなアンティークの椅子。そこに三角座りをしながら、ぼーっとテレビを見ていた鈴間屋アリスは、かけられた言葉に顔をあげた。茶色い長い髪の毛が、一緒に肩の辺りで踊る。
「ああ、白藤。おはよう」
 日曜の朝、まだ七時半だというのに、白藤銀次はいつもと同じぴたっとした細身の黒いスーツを着こなしていた。いつ見てもそれだ。もしかして、それ以外の服持ってないんじゃなかろうか。
「おはようございます」
「どうしたの?」
 元から背の高い彼だから、椅子に座った状態ではいつもより余分に見上げることになる。
 だけど見上げることも悪くはない。下から見たら、短く整えられた黒い髪が、襟足の方で一カ所だけはねている。少しだけアリスは微笑んだ。あとでからかってやろう。
「お嬢様が日曜日の朝だというのにこんなにはやくから起床して、きちんと寝間着から部屋着にお着替えになり、ご自分の部屋からでていらっしゃって、団欒室でテレビなど見ていらっしゃる。すわ天変地異の前触れではないか。私はいま手が離せないから見て来てくれないか、とシュナイダーさんに頼まれまして」
 銀次は整った顔立ちを崩すことなく、淡々と答えた。
「……それ、バカにしてる?」
 アリスは意思の強そうなアーモンド型の瞳を細め、彼を睨みつける。
「まさか。早起きは素晴らしいことですね、と言っただけです」
「はいはい。どうせ私は休みの日はお昼になるまで起きてきませんよーだ」
 ふんっと不満そうに形のいい鼻をならすと、アリスはテレビに向き直る。
「本当に珍しいですね。お嬢様が鳥類戦隊バードマンをご覧になるなんて」
 アリスの座った椅子から二歩分後ろで、しゃきっと立ったまま銀次が問う。
「んー、ほら一応この番組のスポンサーだからね。一回ぐらい見ておこうかと思って」
 テレビでは、特撮の戦隊ヒーローが頑張っている。
「さようでございますか」
「白藤」
「はい?」
「三十分そこに突っ立ってるつもり? 目障りだから座ったら?」