出店者名 ペーパーカンパニー
タイトル あまざらしの庭園
著者 豆塚エリ
価格 900円
ジャンル 詩歌
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紹介文
 自選詩集を除けば『夜が濃くなる』に続く最新詩集です。
「わたし」たちが生きるそれぞれの「わたし」の世界は湿り気を帯びて空気はぬるく重く息苦しい。泳ぐようにかき分けても停滞して進めない。現実を見つめ諦めてもどこか諦められずに目をそらす「わたし」の「世界」の残酷さを美しいことばで綴った詩集だと思います。
今作の特徴を挙げるとすれば、そんな苦しい世界・現実を暴き見せつけながらも、でもそれでもいい、「あなた」も「わたし」もそれでいいと認め包み込むような大きなものを感じました。
 画家による表紙の絵はおそらく花で、色みとタイトルから露草のように正岡には思えました。が、具体的に露草と言ってしまうと嘘に感じられます。シルバーのラメの細い箔押しも美しく、遊び紙の導入も内容を感じさせるものです。どんな紙なのかは見てのお楽しみ。

すべて与えたいのに
言ってるそばからこぼれてしまって水浸しになる
かかとの骨が冷たくって
指先までふるえる どうして
こんなにあつくなっているのに
遠くなるばかり

hydroより