出店者名 紫陽花宮
タイトル FLOWER
著者 水無月美伊
価格 200円
ジャンル 大衆小説
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紹介文
ホテルマンの克巳は、客で花屋の娘のマキと知り合う。偶然にもマキは、克巳の恋人路子の後輩だった。
そんな時、路子は不幸な事故で命を落としてしまう。ショックで言葉が話せなくなった克巳に、マキから花が届く。

 結婚式は、滞りなく終わった。
 月岡家は、市内で小さな花屋を経営している。普通は、披露宴の最後に、花嫁がキャンディフラワーを配るのだが、さすが花屋の結婚式だけあって、本物の赤い薔薇を一輪ずつ配った。
 克巳がその様子を見ていると、文彦が、余った薔薇を何本かマキに渡していた。
 すると。
 マキは、コンシェルジュデスクに駆け寄り、その薔薇の一本を克巳に差し出した。
「今日はありがとうございました」
 克巳は、少々驚いた。
「私に、ですか?」
「ええ。お世話になったから」
 克巳は微笑んで、花を受け取った。
「こちらこそありがとうございました。お気をつけてお帰り下さいませ」
 マキは照れたような笑顔を見せると、頭を下げて、その場を離れた。